変人カノジョ
□7.彼女の弱点
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ベルフェゴールを肩に担いで入って来たセイラに大広間にいた皆は呆気にとられた。
それを意に介さずテーブルに歩み寄ると、セイラはその上にベルフェゴールを横たえる。
「これはどういうことだぁ!」
ベルフェゴールを指差して青筋たてるスクアーロ。
『どうもこうも寝てるだけだから安心してよ。じゃあ私はまだフランがいるから』
セイラを見送ってから、ルッスーリアはピクリともしないベルフェゴールにくねくねしながら近付いた。
「ベルちゃんたら大丈夫なのかし――あら?」
前髪の隙間からちらりと覗いたものに気付いたルッスーリアは前髪を手で払った。
ルッスーリアを見てなんだなんだと寄ってきていた野次馬はそれを見て目を見開く。
ベルフェゴールの額にはでかでかとこう書かれていた。
王子(笑)
「(仮)の次は(笑)かぁ!新バージョンなんか求めてねぇぞぉ!」
「あははさすがセイラだね。そのうち(株)とか(有)とか書くんじゃね?」
「ベルは会社じゃねぇぞぉ!」
「目を覚ましてこんなの見たらきっと大変なことになるわねぇ」
頬に手を当て溜め息をついたルッスーリア。
それからちらりと窓を見て呟いた。
「あら雨だわ。湿気が嫌ねぇ」
鬼ごっこ終了まであと20分。