ほんっとうに不覚、まさに一生の不覚だ。セイラは廊下を駆けながら心の中で悪態をつく。(綱吉のドS大魔王に弱味を握られる、だなんて…過去の自分を殴り飛ばしたい)―――お前は詰めが甘い。直さなければいつか死ぬかもしれないな。いつかあの人に言われた言葉がセイラの頭を過ぎった。頭を振ってそれを追いやったセイラは自室に飛び込む。それからつい先日つくったばかりの試作品を手に部屋を後にする。絶対逃げ切ってみせる、と固く誓いながら。