変人カノジョ

□3.あまいもの
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今日はヴァリアー邸にはセイラとベルフェゴールだけしかいない。
他の幹部はそれぞれに任務、ザンザスは本部に行ってしまった。

なのでベルフェゴールは朝目を冷ますとすぐにセイラの部屋にむかった。
が、そこにセイラはいない。
すぐにベルフェゴール広間に方向転換し、歩き始めた。

今日はベルフェゴールにとってのチャンスだ。

(いつもは糞ガエルが邪魔すっけど、今日はふたりっきりだし、進展しねーと)

ベルフェゴールはしししっと笑うと広間の扉に手をかけた。
ドアを開けると、鼻腔をくすぐる甘い香りに(見えないけど)ベルフェゴールは顔をしかめた。

「…んだコレ」

ベルフェゴールの視線の先にはテーブルの上の山盛りのお菓子。
あっけにとられていたベルフェゴールを意に介さず、セイラはひょっこりとやってきた。

『ベルおはよー』
「おはよ…つーか、コレ何?」
『お菓子』
「それはわかってんだけど」
『うーんとねぇ…昨日任務帰りになんか無性にじゃ○りこが食べたくなったからコンビニに寄ったんだ。そしたらくじ引きみたいのがやってて…当たっちゃった、お菓子一年分』
「一年って…すげー量…」
『ぶっちゃけ困ってんだよね。部屋に置いておくのもこんなに多いと邪魔だし。だから皆にたべてもらおうとおもったんだけどなー。なんでほとんど任務なんだよ、クソが』
「セイラ、心の声もれてっけど」
『おっと!やべ、私のイメージが…』
「もとからイメージはよくないんじゃね?」
『なんでよ』
「だってお前変人じゃん」
『……』
「……」

セイラは咳払いをひとつすると脱線していた話を戻した。

『なんか欲しいお菓子あったらたべていいよー』
「じゃあ朝メシこれでいーや、めんどくせーし」
『私もそうしちゃお。不健康だけど』

ベルフェゴールは一番近くにあった箱を手に取り開けようとする。
しかしそれはセイラに阻まれた。

「んだよ、なんでもいいんじゃねぇの?」

セイラはゆるゆると首を振った。

『よく見て』






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