変人カノジョ
□2.旅行争奪戦
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『にーんむー任務任務任務毎日任務ー休みがほしい』
「我が儘言うんじゃねぇ!!」
『はいはいわかったわかった次の任務は何?』
スクアーロはそのくらい自分で見ろと言ってセイラの前の机にのった、任務の詳細が載った紙を拾い上げた。
『なんだかんだ見てくれるスクアーロが大好きだと思いました』
「なんで作文みたいになってんだぁ。あとなぁ、好きとかあんまりいうんじゃねぇ。聞かれたら面倒なことになるやつがいんだろがぁ」
『面倒なことになるやつって何?イミフでーす』
「…お前あんなわかりやすいのに気づいてねぇのかぁ」
セイラは可愛らしく首をかしげた。
わかってるのかわかってないのか読めないセイラに、スクアーロははぁと息を吐く。
「…まぁいい。任務はな、俺らの中から二人が日本にいかなきゃならねぇ」
『え、うそ日本?』
「俺は調度別の任務があるから無理だ」
『じゃあ私、ジャッポーネいきたい!』
セイラは勢いよく右手をあげた。
ちょうどその時ベルフェゴールの投げるナイフがカエル頭に沢山ささったフランと、更にナイフを投げつけるベルフェゴールが広間に入ってきた。
「セイラセンパイ、どうかしたんですかー?右手あげたりしてー」
「お、セイラじゃん。こんなとこで何してんの?」
二人はセイラを見つけるや否やセイラに集まる。
スクアーロは砂糖に群がるアリみてぇだなと思いながら、ぼそりと面倒なヤツがきたと呟き、広間から出ていく。
セイラはフランとベルフェゴールに視線を移す。
いつもはあまり感情を表さないセイラの瞳がキラキラと輝いていて、二人は思わずセイラにみとれた。
二人のこころはこの時見事にシンクロした。
((やっべー超かわいー))
二人の心情を知るよしもないセイラは瞳をキラキラと輝かせたまま二人に詰め寄った。
『ね!日本!日本!ジャッポーネ!』
「日本がどうかしたんですかー?」
『任務でね、日本行くんだって!でね、私日本ちょうど行ってみたかったの!二人でやる任務らしいからベルかフラン、一緒に行かないっ!?』
セイラの言葉を耳にした途端、ベルフェゴールとフランの間に火花が散った。
二人ともセイラと旅行なんておいしいもの、逃す気はない。
「王子が一緒にいってやるよ」
「ミーも日本行きたいですー」
二人の間にある火花にちっとも気づかないセイラは、更にとんでもないことを口にする。