変人カノジョ

□17.アイロニー
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幹部全員が着替えて車に乗り込むと、作戦隊長のスクアーロが作戦の概要を話しはじめた。
今回の任務は、最近やたらと活発になってきた悪徳なマフィアたちを束ねる大本のファミリーのボスを抹殺すること。
用心深い性格らしく、滅多に社交の場に姿を現さないそいつが珍しくパーティーに出席するという情報を得たため、暗殺を生業とするヴァリアーに仕事がまわってきたのだ。

「正直言ってタイミングが良すぎる気がするぜぇ」
「罠かもってことですかー?」
「多分な」
『でも、やれるから受けたんでしょ?』

スクアーロはニヤリと口端を吊り上げる。

「所詮相手は格下だからなぁ。ボンゴレに刃向かうっつーのがどういうことか教えるにはちょうどいいだろぉ……と、言いたいところだかなぁ、」

面倒くさそうに書類を睨みつけると、そのまま続ける。

「今回はあくまで暗殺が目的だぁ。パーティー出席者の内どこまでがあっち側の奴らか判別がついてない以上、相手にしなきゃならねぇ戦力がわからない。守備よく済ませば一人を始末するだけだ」

それはつまり、場合によって何人を相手にするかはわからないということだ。
潜入しなければならない以上、あまりこちら側の人数を増やすわけにはいかない。
そして、この機会をのがせばいつまたターゲットが姿を現すかわからない以上、この機会に仕留めるしかないのだ。
その為に念には念を入れてこのメンツを揃えたのだろう。

「…で、今回の役割だが、会場に入るのはフラン、ベル、セイラと俺だぁ。レヴィとルッスーリアは邸外を頼む」
「まかせてちょうだい」
「む、何故俺が外なんだ」

不満を口にするレヴィに視線が集まり、彼はうろたえた。

「な、なんだ、何故俺を見る!?」
「いえー、本当にアホなんだなーって思ってー」
「何だと!?」
「お前がパーティーになんか出てみ?浮くに決まってんじゃん。違う意味で視線あつまんだよ」
「それを言うなら長髪のスクアーロや、絶世美女のセイラだって目立つだろう!」
「おバカね。目立つとしてもパーティー会場にいておかしくなければ問題ないのよ」

まぁその点あたしは奇抜だからボンゴレ関係のパーティー以外は出ないけど、とルッスーリアが続ければ、レヴィも口を閉じた。

「続けるぞぉ。…セイラ、お前には特別な役割がある」
『何?』
「お前にはターゲットを釣るエサになってもらうぜぇ!」

つまるところ、囮になれということだ。






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