変人カノジョ

□16.自覚
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久しぶりの休暇をだらだらと過ごしていたセイラは、ソファに寝転がりながら雑誌を眺めていた。
あまりそういうものには興味を示さないのだが、ルッスーリアに女の子なんだから、と渡された雑誌は、最近の流行だとか恋愛の特集なとが組まれた若い女性をターゲットとしているものだった。
パラパラとめくっていた手が、ふと止まる。
それまで誌面に向けられていた視線が向かい側のソファでマンガを読んでいたベルフェゴールに向けられた。

『ねえ、ベル』
「ん?」
『ベルは、私が好きなんだよね?』
「そうだけど。つか何、どうした?」
『んー…、ベルはさ…』
「ん」
『私と、やらしいことしたい?』
「…………………はぁ?」
『だよね、やっぱりしたくないよね』
「したいに決まってんじゃん」
『まじか』
「男なんかみんなそんなもんじゃね」
『へぇ、じゃあこの雑誌に書いてあることもあながち間違いじゃないんだ』
「何読んでんの?」
『ん』

差し出された雑誌を受け取って中を読んだベルフェゴールはああ、と呟いた。
投稿型の恋人達の恋愛事情が載っているコーナー。
結構明け透けな内容が載っている。

「しししっ、品がねぇ内容ばっかだな」
『ね。今はまじもんの淑女って稀少だわ』
「なになに…へぇ、女ってこんなこと考えてんの。こっえー」

雑誌の投稿を読んでいるベルフェゴールの真横からセイラもまた覗き込んだ。

『どれー?…ひゃー、こっえー。女こっえーわ』
「お前も女だろ」
『そうだけどさぁ……』
「でも、セイラって女特有のねちねちした感じってあんまねぇよな」
『そう?』
「そう見えっけど」
『ふうん』
「ヴァリアーって男ばっかなのに媚びたりしねーし」
『必要ないし』

肩をすくめるセイラを見詰め、ベルフェゴールは溜息をついた。

「そーなんだよな。セイラは必要ねぇんだよ。つーか、いつになったら男に興味持つわけ?」
『何言ってんの?』

首をかしげるセイラ。






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