幹部の集まる広間。
いつもと変わらないはずのそこに、いきなりその人は現れた。
「ただいま」
そう開口一番に呟いた人物に、一同の視線は集中した。
中でも目を見開いて震えているセイラは、突然ぶわっと涙を溢れさせた。
『マーモンンン!』
ガバッと黒フードの人物に飛びつくセイラを、若干3名苦い思いで見詰めていた。
「ぐぬぬ、マーモンめ…セイラに飛びつかれるなんて羨ましい」
「うわ、レヴィキモ」
ベルフェゴールの悪態を気にかけもせず、マーモンはいまだに抱き着いているセイラを優しい手つきで撫でた。
「元気にしてた?」
『うん、わりと!マーモンは?』
「(わりと…?)僕はまあいつも通りだったよ」
『長期だったもんね。もう1年近くも会ってなかったし!』
「10ヶ月くらいかな」
『うん。でも予定より早かったね!びっくりしちゃったよ』
きゃっきゃうふふ、なんて効果音がつきそうな二人を一同はただ見詰めていた。