変人カノジョ

□11.うつろう
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いつものように、仕事のない(サボり含む)幹部たちが集まっていた。
そんな中、ルッスーリアが不思議そうに、呟く。

「二人とも、喧嘩でもしたの?」

視線の先には別々のソファに座るセイラとベルフェゴール。
セイラの隣には、いつものようにフランが座っているが、その反対隣にいるはずのベルフェゴールが別のソファにひとりで座っているのだ。
あの、セイラが大好きでいつもべたべたしているベルフェゴールが。

「してねーよ」
「でも、もう一週間もこんな調子じゃないの」
「変な勘繰りやめろっつってんの」

セイラは紅茶にミルクをいれた後、砂糖をこれでもかというほど投入して、ジャリジャリジャリジャリ掻き混ぜていた。

ベルフェゴールとセイラがこんなになって一週間。
セイラ自身、何でベルフェゴールの態度が急変したのかわかっていない。
一月前、一緒になって本部から綱吉の恋人であるメイドをさらってくる時は何ら変なところはなかった。
おかしくなったのは、一週間前。
つまり、前回のSランク任務で一緒になった時から。
――ヴェルデに再会した、あの任務だ。

『あ、ベル』
「ん?」
『この間言ってたマンガかして』
「後で部屋に取りに来いよ」
『うぃー』

別に、仲が悪くなったわけじゃない。
前と同じで一緒に遊んだり、出掛けたりもする。
それでも、セイラだって変化には気づいている。

「う゛おぉぉぉい!何サボってやがるんだぁ!」

つんざくような怒声とともに突如室内に入ってきたスクアーロに、セイラは顔をしかめた。

『私はサボってないしー。本当騒音鮫には困ったもんだわ』
「んだとぉ!?生意気言ってんじゃねぇ!卸すぞぉ!」
「まあまあスクちゃん落ち着いて。何か用があって来たんでしょう?」
「チッ…おい、セイラとベル。任務だ」
「ランクは?」
「S。日本に行ってある組織を壊滅させて来い」
『久しぶりに盛大なの来たね。これぞヴァリアーって感じ』

セイラはいまだ紅茶を混ぜていた手を止めて愉しそうに妖しく笑った。

「えー、ミーがセイラセンパイと行きたいですー」
「駄目だ。フランにも別の任務に行って貰うぜぇ。お前はフランスだぁ。ちょうど術士向けの内容な上にお前の母国だろぉ」
「マジですかー」
「詳細ののった書類を置いていくから各自で読んでおけぇ!」
『ラジャー』






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