白色ポピー

□白いポピー
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人混みからぬけたくてパーティー会場にいる人の間をぬってむかったのはバルコニーだった



誰もいないそこに出てから手摺に手をついて息をつく



火照った顔に少し冷たい夜風が気持ちいい



目を細めて見る月は綺麗な三日月を描いている



つい逃げ出して来てしまったけれど、やっぱり失礼だったな、と自己嫌悪する



けれどあのままあそこにいるのはとても無理だった



だってバジルの顔を思い浮かべるだけでなんかおかしくなる



自分で自分がよくわからなくて溜め息をついたときコツという音がして私は振り返った



そしてそこにいた人を見て目を見開く



『…な、んで…』



彼は以前と同じように茶色い瞳を細めてにこりと笑う



「お久しぶりですね、紗那さん」



『なんで、あなたが…ここに…?』



無知は罪です



そう書かれた紙を私に寄越したあの男だった









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