白色ポピー
□夢物語のような
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なんでこの僕がこんなことを。
もう何年も同じことを考えている。
マフィアの殲滅を望む僕が、マフィアの頂点に君臨するボンゴレファミリーに所属している。
とんだお笑い種だ。
とはいっても現状どうしようもないから、今日も面倒な仕事をやるはめになっているのだが。
仕事終えてから、報告をしにボンゴレに向かう道すがら、答えの出ない問いを繰り返していた。
さくさくと雪を踏み分けていくと、なんだか頭が冴えるような気がした為、わざわざ徒歩を選んだけれど、ただただ寒さに身体の芯が冷えてゆくだけだ。
大粒の雪が吹き付けて、自分の選択を後悔した。
なにも人っ子一人見当たらないこんな日を選ばなくてもよかったはずだ。
真っ白な雪の中を黙々と歩くと、白い視界に何か、別の色がうつった。
怪訝に思いながら近付くと、ボンゴレの門の50メートルほど手前に何かがいる。
いや、誰かが倒れている。
ちょうど進行方向なのでそのまま進んでいく。
倒れているのは、少女だった。
「おや…」
ところどころ血が滲んでいるのが見えた。
この辺は決して治安がよくない。
裏関係のごたごたにでも巻き込まれたのだろう。
このように息絶えていく子供は決して珍しいものではない。
哀れだと思う。
だけど、それだけなのだ。
脇を通り過ぎようとした時、小さくうめく声が聞こえて足を止めた。