CHANCE
□beloved
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雲雀さんに手を引かれてついていくと、家の真ん前にバイクが停まっていた。
「これ被って」
渡されたのはヘルメット。
手にヘルメットをもってポカンとしていると、さっさとバイクに乗っていた雲雀さんがこちらを見た。
「何やってるの、早く乗りなよ。遅刻するよ」
『は、はい』
恐る恐る後ろに乗った。
えっと、これは…抱きつくのかな。
恥ずかしいんだけど。
「ちゃんと掴まってないと落ちるからね」
そう言うや否やバイクは急発進したので思わず抱きついた。
命の危険を前にしたら、羞恥なんてなんの意味もなさなくなるのだと、身をもって知った。
絶叫系アトラクションと同じくらいのハイスピードで学校までついた。
遅刻しなかったのはいいけど、なんだかふらふらしてしまう。
『あ、ありがとうございました。おかげで遅刻しなかったです』
時計を確かめると授業が始まるまで時間には余裕がある。
「御礼はちゃんと貰うから」
言うなり軽くキスをされる。
突然のことに私はあっという間に茹であがった。
『な、ななななななにしてるんですか!?』
「御礼もらっただけだけど。それより、時間いいの?」
『え?あ!もう行かないと…っ!』
「放課後、応接室に来て」
『はい』
真っ赤になっているだろう頬を隠すように顔を伏せながら教室まで全力疾走した。
加筆修正2012/04/20