教室に入ると一斉に視線が集まった。
クラスメートは何か聞きたそうにしているけれど、気付かないふりをして自分の席につく。
京子の笑顔の挨拶で心が和らいだ。
休み時間、次の授業の準備をしていると数人の女子生徒が近付いてきた。
もちろんその中には神崎もいて、あまりに予想通りだったから内心ほくそえんでいた。
「神崎さん、ちょっといいかな」
『何?』
きょとんとした表情を浮かべて見詰めてみせると、彼女たちは目を見合わせた。
「あの…神崎さん、噂聞いた?」
女生徒の一人がそう言ったのには知らないふり。
『噂?』
「すごい噂になってるんだよ。神崎さんと雲雀さん」