CHANCE

□discouragement
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歩き慣れた通学路を通るとあちこちから視線を感じた。
すっかり変な噂が浸透してしまったのだろう。
噂は必ずと言っていい程尾ひれがついてしまうものだから、一体どんな噂になっているのか想像したくない。
いい気分はしないけど大きな害がある訳じゃないので、視線にかまうことなく学校に向かった。
しばらく歩くと校門が見えてくる。
そしていつものように校門付近にいるリーゼント集団、もとい風紀委員たち。
風紀委員の服装検査は最早並高の朝の日常風景となっている。
足を進めながらあちこち見渡してみた。

「委員長ならここにはいませんよ」

声をかけてきたのは草壁さんだった。
何度か応接室で会ったり話したりしたことがある彼は、風紀副委員長で雲雀さんの腹心とかそんな風な感じだ。

『おはようございます、草壁さん。雲雀さんは今は応接室ですか?』
「はい。書類整理をしている筈です」
『わかりました、ありがとうございます』

頭を下げて校舎へ向かう。

結局今日はいつもより家を出るのが遅かったので、あと5分でHRがはじまってしまう。
校門で雲雀さんに会えたらお弁当を渡してしまおうと思っていたけど、どうやらそれは無理だったようだ。
今から応接室に寄っていくと、多分HRに遅れてしまう。
しょうがないからお弁当は後で渡しにいこう。
昇降口に着いたので鞄から上履きを出して履き替える。
自分の下駄箱は惨状と呼ぶにふさわしいような有り様だったので無視をした。






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