CHANCE

□discouragement
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いつもより少しだけ早く起きてお弁当の用意に取り掛かる。
両親がいないからお弁当はいつも自分でつくっているけれど、やっぱり気合いの入り方は違ってくるのが乙女心だ。
雲雀さんに不味いものなんてとても食べさせられない。
少しでもおいしく、見た目にも気を使わないといけない。
雲雀さんは体格からいってそんなに食べないと思うけど、男の人だし、成長期(多分)だしということで、両親が亡くなってからずっとしまいこんでいた私のより大きい父親のお弁当箱を取り出してきた。
懐かしいな、昔はお母さんが私やお父さんに朝お弁当をつくってて…。
思い出したら、ちょっとだけお母さんのつくったご飯が食べたくなった。

時計に目をやると、そろそろお弁当は終わらせないと遅刻してしまう時間だった。
慌てて鞄に自分のお弁当をつめ、雲雀さんの分は小さめの紙袋につめた。

それからエプロンを外しながら小走りで洗面所に向かった。






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