掴まれたままの腕に全神経が集中する。
『雲雀さん、腕…』
雲雀さんは私の言いたいことを察してすぐに腕を離してくれた。
チャイムの鳴るおとが耳に入る。
「僕が来る前、沢田綱吉たちと何話してたの」
雲雀さんは校庭に視線をやりながらたずねる。
『えっと…忠告?と、もう一人の葵のこと』
「…そう」
雲雀さんは別段驚いたふうでもなかったから、答えを予想していたんだろうか。
それ以上何を聞くでもなく、フェンスに寄りかかっている。
私は特にすることもなかったから、雲雀から2メートルくらい離れた所でフェンスに寄りかかって座った。
『雲雀さんは、私をもう一人の葵に重ねていませんか?』
雲雀さんの視線がこちらに向くのを感じたけれど、私は前を見つめたまま続けた。
『私と彼女って…似てますか』