CHANCE
□登場、登場、登場
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「二人ともまだお昼食べてないよね。お昼休みおわっちゃうよ?」
時計を見ると、あと20分で授業がはじまってしまう。
あわてて京子と弁当を広げた。
私がもぐもぐとメロンパンを頬張っているとツナくんが心配そうな表情を私に向けてきた。
「ねぇ、これからどうするの?」
「葵は多分既に目ぇつけられてるぜ」
獄寺くんの言う通りだと思う。
雲雀さんに風紀委員に誘われたって言ったらすごい顔してたし。
その時の西村を思い出して思わず口が弧を描いてしまった。
『大丈夫。私は敵には容赦しないから』
そう漏らして更に笑みを深めれば、皆微妙な視線を向けてきた。
「なんかすごい自信だな。実は葵はすごく強ぇのか?」
「あいつの家は金持ちらしいから敵にするには部が悪いぞ」
『大丈夫だから、手を出さないでね』
獄寺くんが私を見つめてくる。
『何?パンほしいの?』
「ちげぇよ」
首をかしげると、獄寺くんは口を開いた。
「…よく笹川の話を信じたな」
『あぁ、そういうことか』
獄寺くんが疑問に思うのも当たり前だと思う。
一見、西村はクラスの人気者。
普通は京子の話を疑うだろう。
まぁ私は当事者だったからあいつの本性なんてとっくにわかってるだけなんだけど、そんなことを言うわけにもいかない。
『さっき、私が雲雀さんに呼び出されたのは知ってるでしょ?教室に戻ってきて西村さんたちにいろいろ訊かれて…私が雲雀さんに風紀委員に誘われたって言ったら、』
風紀委員に誘われたのくだりで京子以外は目を見開いた。
『西村さんがすっごい顔したんだよね、一瞬だったけど…。だから気にかかってたんだよ。それに私、人を見る目はあるから』
「そうだったんだ…」
呟いたツナくんに笑いかけると少し頬が赤くなった。
『あ、ちなみにその私の勘に従うとここにいるみんなは信頼に値する人たちだって。まあ、私を信頼してくれるかは別としてね、…まだ会ったばっかりだし』
照れたように笑うツナくんがかわいかった。
屋上を和やかな空気が包む。
と、その空気を壊す声が響いた。
「おいツナ、何気の抜けた顔してやがる」
いつの間にかそばにいたのはリボーンくんだった。