CHANCE

□tumble
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いつもと何も変わらない通学路を通って学校内に入って行く。
教室の扉を開けると、何故か教室の一ヵ所に人だかりができていて、その人たちの視線が一斉に私をとらえた。

『おはよう』

一応挨拶をしてみてもなんとも言えない視線が帰ってくるだけだった。
違和感を感じて京子にきこうと思っても、残念なことにまだ来ていないみたいだ。
人だかりの中心に誰かいるのが見えて、不思議に思って覗き込めば、そこにはまどかちゃんがいた。
うつむいているから表情はわからなかったけど、いつもニコニコ笑っているまどかちゃんからは想像できないくらい暗い雰囲気だった。

『どうか、したの…?』

頭の中は疑問符ばかりが埋め尽くしていて、一体何がおきたのか見当もつかない。
私の疑問に一番近くにいたクラスメイトはばつが悪そうに口を開いた。

「葵は今登校してきたんだよな?」
『うん』
「早い時間に一度来てたりしないよな?」
『うん』

そんな面倒なことはしない。
なんでそんなこと聞くんだろう。

「だよなー。葵に限ってやっぱねぇよなぁ」
「見間違いじゃないの?」

別のクラスメイトがまどかちゃんにそう問いかけるけど、うつむいたままだった。
私はというと、いまだに状況についていけてない。

『えーっと…一体何があったの?』

何かしちゃっただろうか、と不安になってたずねてみる。

「実はね、今日、まどかの下駄箱に嫌がらせがしてあって」
『嫌がらせ?』
「うん…私も一緒に見たんだけど、ゴミとか詰まってて」
『え!?誰がそんなこと…』

まどかちゃんが気になって見つめると、悲しそうな表情を浮かべてまたうつむいた。
心配になって彼女に近付こうとした時、か細く震えた声が聞こえて思いとどまった。

「私、見たんだよ…」

それはうつむいたままの彼女から発せられたものだった。

「葵ちゃんが今日の朝早くに私の下駄箱に何かしてるの」






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