CHANCE

□たすけたい
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屋上についたので二人で座り込む。
この場所も随分久しぶりだ。
生徒が一人ここから飛び降りたのに、閉鎖しなかったんだ。
いい加減な学校だな。
だから雲雀さんの仕事が増えるんだよ。
教師もくずばっかで、私がいじめられていたのを知ってたのは何人かいたのに誰も助けたりしなかった。
それどころか、どういうわけか私を敵視し出す始末だった。
きっとまどかが何かしたんだろうけど。

「葵ちゃん」
『何?』
「ごめんね、急にこんなとこ連れてきて…」
『別に大丈夫。お昼一緒に食べてくれるんでしょう?』
「うん…ありがとう」

京子がにこりと笑う。
やっぱり京子には笑顔が似合う。
私がこの学校に来てからは、笑顔の京子を見ていなかったから嬉しかった。

『話って…何?』
「…うん、あのね……西村さんのことで話があって」

やっぱり…京子は優しいから話すと思った。
辛いことだとしても。

「…信じられないことかもしれない…でも、」

京子は伏し目がちにしていた目をあげ、私を真っ直ぐに見つめた。

「私はもうあんなことはいやなの」

いつもと違って力強い目だった。





加筆修正2012/07/07

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