CHANCE
□clue
2ページ/5ページ
* * *
雲雀恭弥。
はじめて彼を見た日から、この学校で一番私にふさわしい男だと思った。
ただ、問題だったのは、彼は人を寄せ付けず、気に入らなかったら問答無用で暴力にうったえるということ。
彼を狙う女は確かにいただろうけど、実行に移すような強者は今までいなかった。
もちろん、私も含めて。
だから少しずつ彼に近づいていこう、と決めていたのだ。
クラスでクラスメイトと話している時、彼女が言った。
「まどかちゃん知ってる?葵ちゃんの噂」
「噂?なにそれ」
いつものようにくだらない話だろうけど、適当に合わせる。
私が内心ではバカにしてるのも知らないで、毎日毎日能天気にくだらない話をしてくるクラスメイト。
こいつらはなんて扱いやすい人たちなんだろう。
ちょっといいこを演じれば、皆騙される。
「あのね、葵ちゃんが雲雀さんと付き合ってるんじゃないかって噂なんだけど」
「雲雀さんと…?」
まさか、あの雲雀恭弥に限ってそんなわけない。
雲雀恭弥は私のものなのに。
「まぁあくまで噂だけどね。何か、ここ何ヵ月か葵ちゃんがしょっちゅう応接室に行ってるみたいだよ」
「ふーん…」
冗談じゃない。
雲雀恭弥が葵なんて好きになるわけない。
せっかくだから私がはっきり確かめてあげる。
こんな噂でたらめだってね。
じゃなきゃ気がおさまらない。
「私、葵ちゃんに本当か聞いてくる」
「えぇ!?それはちょっと…」
「だって…雲雀さんっていろいろ怖い噂あるから葵ちゃんが心配だし…」
「まどかは優しいねー」
本当に優しい人はこんなこと考えないだろうけどね。
私は笑顔を浮かべると行ってくると告げ、葵のもとへ向かった。