CHANCE
□coffee
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適当に座ってと言われたのでソファにすわる。
雲雀さんも私の前に座って、向き合うような形になった。
やっぱり向き合うと緊張する。
『あの、雲雀さん』
「何?」
『昨日は本当にありがとうございました』
ガバッと頭をさげる。
「もう大丈夫なの?」
『はい。おかげさまですっかり元気になりました』
そう言って満面の笑みを浮かべると雲雀さんは目を逸らしてしまった。
「……よかったね、元気になって」
雲雀さんの頬が若干赤いような気がするけど、気のせいだろうか。
それとも、もしかして…照れてる?
「何ジロジロ見てるの」
睨まれてしまった。
やっぱり私の勘違いなのか…ですよね…。
『…すみません。えっとそれで今日はですね、御礼ができたらなと思ってきたんです。昨日仕事を手伝ってって言ってたので…』
「ああ…、今日はもう仕事ないよ」
『えっ』
「もう終わらせた」
『あ、そうですか…』
何やってるんだろう、私…。
手伝いに来たのに何もできないし、むしろ今って雲雀さんの邪魔してる?
情けない。
『じゃあ私邪魔になっちゃいますし…また出直してきます』
そう言って立ち上がると、腕を引き寄せられた。
「ちょっと待って」
『……え?』
「昨日言ったでしょ。別に仕事の手伝いじゃなくてもいい」
――それと、たまに話し相手になって。
そうだ、昨日雲雀さんはそう言った。
「今日は僕の話し相手になってよ」
突然のことに、ただ頷くことしかできなかった。