CHANCE

□手をさしのべる
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「どうなの、河上葵」
『なんで、私の名前を…?』
「調べたのよ、あなたのこと。はじめは只の自殺を失敗した人かと思ってたけど…違うみたいだったから」
『どうやって…』
「私のうちね、お金持ちなの。私しか子どもがいないうえに私がいつ死ぬかわからないから凄く大切にされててね、私が自由にいろいろできるようにしてくれる」

そういうことだったのかと納得した。
こんな少女に、普通はそんなことできるわけがない。

「もう一度聞くけど、復讐したくない?」
『……したい』

憎い。
あいつらが、憎くて仕方ない。

「あなたに覚悟があるなら、私が手伝ってあげる」
『…条件は?』
「条件……?あえて言うならあなたを追い詰めた人たちへの復讐。私はああいう人たちなんか大嫌い。だからあなたが復讐してくれるなら、私はそれで満足だわ」

どうする?少女はそう呟き私に手を差しのべた。
これを逃せば、きっと復讐なんて一生できず、惨めに終わってしまうのだろう。
それだけは絶対、嫌だ。
だって、ようやく得られたチャンスなのだから。
それに、もう私に失うものなんかない。

私は少女の手をとった。
少女は嬉しそうに笑う。

もう後戻りはできないのだろう。





加筆修正2012/02/25

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