『私をはじめに見つけたのって、ここのみんなじゃないの…?』
こんなこと聞いたのは初耳だった。
今まであんまりそういう話をしてこなかったなと今更ながらに思う。
それにしても、まさか、命の恩人が別にいたなんて思ってもみなかったけれど。
ツナは首を横にふった。
「紗那はここに運ばれてからしばらく意識がなかったから知らなかったと思うけど、実は紗那を見つけたのは俺たちじゃないんだ。たまたまここに用があって来てた人が血まみれで倒れてる紗那を見つけてここに運んで…。彼は仕事でいつまでもここにいるわけにはいかなかったから紗那が目覚める前に帰ったんだ。俺たちもずっと会う機会がなかったんだけど、彼も今度のパーティーに来てくれるらしいから、紗那も一応会っておいた方がいいと思って」
『そうだったんだ』
確かに、一度会ってきちんとお礼くらい言っておきたい。
『私も、その人に会ってみたい』
今こうしてみんなと一緒に笑っていられるのは、その人のおかげなんだから。
加筆修正2012/04/07