犬ハル
彼女の唄うような話し方が好き。
彼女の歌声はみんなを笑顔にさせる魔法がかかっていると思う。
骸さんは本当に心から笑っている気がするし、髑髏も表情がハキハキしているし、千種は「めんどくさい」と言う回数が減った気がする。
「犬ちゃん、」
「‥‥‥」
「はひ、なんですか?その目はっ」
そっちこそなんなんだびょん?その呼び方は。と思いため息をつく。
「骸さんに何か言われた?」
「は、はい!骸さんが『犬は犬ちゃんと言われるのが一番嬉しいらしいです』と教えてくださいました。」
やっぱり。この間、買い物ついでにハルとケーキを食べに行ったことの仕返しらしい。骸さんの仕返しは小さいけど怖い。
「ふふ、とってもプリティーですね」
「ぜんっぜん‥」
「、何か言いましたか?」
でも思えば彼女が俺の名前を呼んだのは初めてだった。
「な、にも言ってないびょん!」
そう少し大きな声を出してしまったら驚かれた。
「、ハル」
恥ずかしがったけどそう呼んだらば、ニッコリ笑ってソファーに腰掛け『何ですか?』と言うようにでも俺の名前を繰り返した。
「犬ちゃん犬ちゃん犬ちゃん」
その呼び方も名前で呼ばれることも照れくさくて直視することも返事をすることも出来なかった。
城島さん城島さん、
そういつも少し控えめに呼ぶより歌声が響いて気持ちよい。
何にも言えず、顔を赤らめていたら肩にハルがよっかかってきたので頭を優しく撫でた。
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