reborn
□どっちもイヤ!
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俺は突然来週から恋人には言えない遠い遠いところへ行くことになった。帰ってこないかもしれない。死ぬかもしれない。
そんなとこへだ。
だから日本で過ごす最後の休日に超高級レストランに行った。
恋人はどれもこれも美味しそうにほおばった。
俺の気持ちも知らずに。そしてデザートもぺろりと食べて、近くの夜景がきれいなところへ出た。
テレビで騒がれてて、行ってみたいと恋人も騒いでいたこの地に。
「寒いけど綺麗ですねー」
「ああ。」
「なんだか見てると幸せになっちゃいそうですね」
「………」
いつも通りおこちゃまな考えのあいつ。後ろの俺は突っ込む気も失せる。これからは違う奴に突っ込んでもらえ。
「別れよう」
「はひ?」
「俺たち別れよう」
「はひ?」
振り返ってなんにも知らないように首を傾げるなよ。前に遠くに行くことは言ったはずだ。まさか忘れたとかいうなよ。
「だから、俺は遠くに行くんだ。」
「だから別れるんですか?」
「そうだ」
「嫌です」
首をふいっとやって前に向き直った。
今度は反抗期か。なんなんだ、こいつ。いっそのこと昔みたいにケンカすればよかった。