reborn4

□深すぎる傷痕
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※前回と違い少し切ない感じです。










−「次は並盛5丁目で、」















自分でもなんでこんなことしているかわからない。同じ学校だけど喋ったことのなかった風紀委員長(それさえも知らなかったけど)の雲雀恭弥、に放課後会いに行って話し掛ける、なんて。
雲雀恭弥は黙って並盛を出て行った。少しだけニタリとする。



ああ、違うのよ?
これもあなたのためなのよ?








それは2日前のこと。




「ハルちゃん、」

その日は再放送のドラマを見たくて早足で校門を抜けようとしたとき、ポニーテールをした他校の制服の、ハルちゃん。(なんて、かわいらしいこと)
走ってこちらへ向かっている(もちろん私にじゃなくて並盛中に)、彼女に声をかけた。そしたら顔をあげて私の名前を呼んだの。(ゾクってする)(嬉しくて、)

「京子ちゃん、」

「どうしたの−あ、」

理由なんて聞かなくてもわかる、この子はいつもツナ君の元へ足を走らせている。自分をわざわざ痛めるようなこと、しちゃって。(すっごくツナ君に嫉妬)(するよ)

「つ、ツナ君に、会い、に、?」

「あ、今日は、違うんです」

少し苦笑いするような、ハルちゃん。違うって、どうしたの?

「今日は雲雀さんに会いに来たんです、はひ!急いでいるのでこれで!」

雲雀さん?そういえば名前は聞いたことあるような。なんだったけ・・・あんまり憶えてないけど。ってハルちゃんは私を通り過ぎて校舎に入って行ってしまった。



その後を興味本位で追いかけた。雲雀さんは確か、男の子、だった、よね。なんだか嫌な、予感。



ハルちゃんに気づかれずに(と言っても本人は慌ててたから全く気がつかないだろう)廊下を走っていたら、辿りついたのは、応接室?、なんで?ハルちゃんは急いで中に入っていった。さすがに中にまで入れない・・・。

「はひ!これでもハルは急いできたんですよ!!」

ハルちゃんの声!壁に耳を寄せて見た。

「罰として、今日6時までここにいること。」

「はひ!なんですか、それ!今日、宿題がありますのに!」

「遅れてきた君が悪い、それに宿題ならここでやれば。」

ああ、そうだ。思い出した。雲雀恭弥は風紀委員長、応接室を利用していて、最強。確か群れるのも嫌い、って聞いた。


「それはグッドアイディアです!わからなければ雲雀さんに聞けばいいですしね!」

「なにそれ、」

冷徹だって、聞いたのに、気のせい?なんだか、
嬉しそう、じゃない?
楽しそう、じゃない?
ハルちゃんも最初は怒ってたみたいなのにいつもみたいに笑っている。あの笑顔はツナくんだけ、だと思ってた。(それだけでも腹ただしかったけど)








なのに、他のヤツ、にも?










他の男にも笑っているの、?
やめてよ、やめてよ、
やめて!
私そんなこと、耐えらんないよ。



本当は私だけに笑っている顔、見せて欲しいし、
私だけのハルちゃん、で




いてほしい。





気付いたら次の日応接室に来ていた。




「何、君、」


「ハルちゃん、」



「は?」


「ハルちゃん、のことどう思っているんですか?」


「・・・・・・別に、なんともおもってないよ」


噂で聞いたとおり冷徹に彼は返した。”なんともおもってない”?



「こんにちは!雲雀さん…と京子ちゃん?」


突然ドアを開けたハルちゃんはポカンと驚いていた。

「ハルちゃん」

私は振り返ってニコリと笑ってからまた雲雀恭弥の方へ向いた。


「今の言葉、
しっかりと聞きました、からね」


彼ほどまではいかないけど冷徹な顔して言った、と思う。彼の鋭い目がちらりとこちらを見たのを確認して、部屋を出た。(またね、ハルちゃん)



そして今日また応接室に行った。

「何なの、また、君、」

「体育館の方で群れてますよ、」

「?」

彼は何言ってるのとでも言いたげな顔をした。

「群れている、人は、咬み殺さないと、」

「・・・・」

「並盛最強の雲雀恭弥、くん」

そこで得意な笑顔を向けると、彼は立ち上がり応接室を出た。そしてゆっくりと歩き出した。横目で窓の方を見ながら。窓から見える、校門の近く、そこには走ってくる、ハルちゃん。
それを見ると彼は走って行った。


少しするとパタパタと階段を駆け上がる、きっとハルちゃんの足音がした。ああ、そろそろ彼は群れを咬み殺せただろう。携帯電話で彼へと電話をした。(彼はきっと驚くだろう)

「、誰?」

「次は並盛5丁目で、






群れてますよ。」

そうニッコリと笑うブチッと嫌な音がした。(ああ、耳痛い)


「はひ、京子ちゃん?」

「あ、ハルちゃん!
ね、ケーキでも食べ行かない?」

「行きたいですけど、ハルは…」

ハルちゃんは困ったようだった。



「あ、応接室なら誰もいないよ」

「、本当ですか?」

「うん、いないみたい。







さっき走ってどっか行っていたよ!」

「はひ、そうなんですか〜」

溜息をついてた。安心とガッカリ?かな。

「じゃ、ケーキ食べ行きましょう!」

「うん!」

ハルちゃんはニッコリ。久しぶりだねなんて言いながら校門を出た。並盛5丁目とは正反対のね。

ハルちゃんの笑顔は私の前、だけ、でなくちゃ。







やっぱり私にとって
ハルちゃんが他の男といるなんて、嫌。
でも私悪くないよね、

だって私、今回すごく傷ついたのよ?









深すぎる傷痕
(あなたに男、なんて考えられない)
(そんなことあったら私、おかしくなっちゃう)






by Cremation







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