reborn3
□結局私の負け、
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私の手にはマフラー。
そう、それも手編みの。かわいいかわいい彼女が作った。目の前のソファーでツン!としている人には勿体ないくらいかわいいかわいい彼女が一生懸命作った。
「うっせえな」
「はひ?!獄寺さんが素直じゃないからいけないんです!」
「やってられるか、そんなん!!」
とうとうタバコに火をつけ始めた。ああ、部屋で吸うのは、せめてハルがいる時はやめましょーね、ってこの部屋を二人で買った時約束したのに。(掃除するハルの身にもなってください!!)
獄寺さんは笑顔で「はい、獄寺さん!愛情たっぷりのマフラーできました!」って渡したのに、受け取ってくれない。獄寺さんに似合う赤なのに。せっかくハルと色違いなのに。
「だから、そんな赤無理だ」
なんでですか!!こんなにキュートなのに!
「獄寺さんって本当かわいくないです!」
「かわいくなんてなくて結構!(つかかわいくても困るだろ?男が)」
「かわいいかわいい彼女が試行錯誤して作りましたのに・・・」
「つかお前自分でかわいいとか言うなよ、しかも二回。」
「せっかく名前も入れましたのに・・・」
「って聞いてねえな、」
モテる人気取りもいいところです!今は例えモテたって仕方ないんです!彼女の前で!
「もう!言うこと聞かないとチューします!」
勢いで言ってしまった言葉。。
最初はよかったけど、
後に後悔することに・・・。
「ハァ?!」
「大人しく『俺のためにわざわざありがとうな、ハル。ハルといない時でもこれをつけて思い出すよ』とか言ってくれればいいんですよ!」
「ア?!なんだ、その、さぶいセリフ・・・」
「さあ、マフラーかハルにチューされるかどっちがいいですか!?」
強気なハルに、唸る獄寺さん。
本当に本当にここまではよかったんです。ですが、意地悪な獄寺さんはここで閃いちゃったんですよ。
「・・・やってみろよ」
「、はひ?」
タバコを灰皿に押し付けた後の、強気な獄寺さんの目。状況を把握できないハル。
ああ、地獄のゴングが・・・
「、キス、してみろよ」
「はひいいいいい???!!」
口まで意地悪く緩ませてきた。
「マフラーかキスなんだろ・
じゃあキス、しろよ」
「な、な、な、な、」
ハレンチです!!!!!!!!!な、なんなんですか。さっきまで少しはかわいく悩んでいたと思ったのに、まさにうって変わっています。
「ほら、してみろよ」
そういうと彼は目を瞑った。
絶対『キスは男からしかしちゃいけねえんだよ』とか言ってマフラーを受け取ってくれると思ったのに!
しかもいつも獄寺さんからしかされたことがなく、ハルはしたことないのです!その、キス、を!
相変わらず彼は目を閉じていて、待っている、ハル、を!!きょ、恐怖です!なんでこんな事態に!
「・・・・・・・」
・・・む、無理です。ここは、おさらばしましょう・・・
ギシッ!
「おい、」
グイッと腕が引っ張られる。あれ、さっきまで目閉じていたのにいつの間にか開けてる?
「逃げようとしてんじゃねーよ」
そして、バレてる!!!!!!!!こ、怖いです。獄寺さん!ハルは獄寺さんの腕の中でいつもより力が入っているのかどうにも抜けることができません。
「は、離してください!!!」
「何言ってんだよ、ハルから言ったんだろ」
ああ、もうダメです!!!
「、おしおきな」
酸素さん、暫くの間、さようなら!
結局私の負け、
(付き合う前は五分五分くらいだったのに、)
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