reborn3
□ずっと忘れていました
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みんなが修行をしている最中、ハルは本日の家事は一通り終わったのでジャンニーニの手伝いとしてコンピュータの簡単な作業をしていた。それは、ファイルを整理するというものだった。
肩に手をかけ、目をパチパチと瞬きさせる。さすがに長時間もコンピュータに向かっていると疲れるものだ。それでもマウスを動かすのはやめない。そして一つのファイルを発見した。それはビデオだった。なんだろう、とハルは開いて見た。
見てみると、髪が長い知らない男の人が何やら大声で喋っていた。だれだろう、この人、と思っていたら、
「・・・!!!」
少し容姿は変わってしまったけど知っている人が画面に映し出された。髪は少し伸びて体も逞しくなっていたが、あきらかにそれはハルの知っている人だった。口の前で手を覆っているとすぐにそのビデオは切れてしまい、また再生をした。間違いない、それは、以前ハルと寿司屋で過ごした彼だった。
いきなりコンピュータの画面が変わり、音声通信がかかってきた様だった。ハルはジャンニーニにいざというときに、と説明されたとおり応対した。
「はい、ジャンニーニの代役のものですが、」
「、あれ?ハル?」
「っ!!!」
「ハル、でしょ?」
「、べ、ル、、、、さん、、」
「うわぁ!!なんでハル?ビックリしたぁ」
未来に来てからというもの、
ベルさんからもらったものは過去に置きっ放しだったが
ベルさんのことは何回も思い出していたし、忘れたことはなかった。
だけど、声の記憶は薄れてきてしまって、
そう、この声だ、
ってさっきのビデオで思い出せた、んです。
「・・・ハル?、泣いてるの?」
声は少しだけですが憶えていたんです、そう、本当に、少しだけ。
だけど、ハルは忘れていたことがあったんです。
大事なことを忘れていたんです。
「ベルさん、
ハルはずっとベルさんに会いたかった、声を聞きたかったです」
「、、、
もうすぐ会い行くからね?」
涙を流しながらくすっと少し笑った。
「、いつですか?」
「もーすぐっ!
そしたら寿司とかまた食べよ!」
「、わかりました。
待ってますね。」
あなたが好きだから、待っています。
ずっと忘れていました
(あなたが好きだってこと)
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