僕と仲間の学生日記。

□俺の部屋に、何かいる。
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「つっかれたー。」


階段を上がって部屋のドアを開けながら一人言を呟く。


そして俺は非日常に出会った。


「おや、おつかれさん。」

「んー。」


……。


ん?


俺は誰と話してんだ?


―――「、えっ!?」


ばっ、と顔をあげて部屋を見回すと


異変はすぐに見つかった。

…ベッドの上に何かいる、多分そいつ喋った。俺は目を擦ってもう一度よく見た。


やっぱり何か座ってる。


何かって言うか、うん、猫が。


「……。」


そして無言でドアを閉めた。






ドアにもたれてそのまま床に腰を下ろす。


「…あー、俺疲れてんのかな。」


猫がしゃべるとか…、なぁ?
おかしいおかしい。
……いや、ないない。
気のせいに決まってる。







冷静になって自分の姿を見つめ直してみると、馬鹿馬鹿しくなった。


…俺何やってんだろ。


「馬鹿馬鹿しい、」


軽く溜め息を吐いてスイ、と立ち上がる。


そしてドアノブに手を掛け、躊躇いなく回した。


「ん…?」


こしこしと目を擦ったが、視界に入るそれは変わることはない。


――あれ…、やっぱ猫がいる。


そして恐れていたことに


「おかえり。」


やっぱり喋った。


「た、ただいま…」


猫はすっくと起き上がり、人のベッドの上で悠々と大きな伸びをした。


「この布団気持ち良いな。」


猫はそう言うとひらりとベッドから降りてトテテテと軽い足音をたてて走り寄って俺の目の前に座る。


「お初お目にかかる。我が名はしなかげ。暫くこの家に住まわせて頂きたい。」


俺の頭は軽く限界を越えた。


「ど、どうぞ…、?」


白石 幸介 十六歳。


――人語を話す猫と会話する。






…俺はもう駄目かもしれない。
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