SS


□あけまして1年後
1ページ/1ページ


人混みがひどくて嫌だ、とごねるウルキオラを連れて歩く夜更け。
去年のことがまるでついこの間のように思い出されて苦笑いを浮かべた。

鬱いだきりのこいつを無理矢理連れてくるのがやっとだった1年前を思えば、
2人並んで出店なんかに目をやりながら歩いてる今の状況は大した進歩だと思う。
「此処…前も来たか」
「あ、ああ…そうだったな」
今思い出しましたと言わんばかりの口振りになってしまったのは、今まさに同じことを考えていたことへの驚きと、隠しきれない嬉しさからだった。
ウルキオラは少しだけ不満そうに眉をしかめたが手は繋いだまま、頭を俺に預けてくる。
「どうした?」
にやけてしまうのを堪えて訊ねる。
「酔った。…少しだけ」
小さな声でそう言って、頭をすりよせると出店から漂う甘酒に混じってウルキオラの匂いがして、どうしようもなくどきどきした。
「俺も、酔っちまったかも」
握りしめる手に力をこめると視線がぶつかる。
「な、何だよ」
「不思議だ」
「は?」
「来年くるときはもっと、お前で満たされるのか」
「おま…っ!」
「何だ?」
恥ずかしいなこいつ!
とか叫んでやりたかったけどウルキオラが満足そうに笑うからそれだけで十分だ。
情けないくらいに高鳴る心臓はお前を好きだって証明だから、何も恥じることはないんだよな。

「また、来ような」
「ああ」

そんな思いも全て見透かして君は微笑む。

来年はもっと近付きたいと
伝わればいいと願って、俺も笑った。



END.

実はこの話前サイトにのっけてたお正月文の続きというか、1年後設定だったりします。
1年前ぎこちなかった2人の進歩とか色々意識してみたつもりなんですが…どうなんでしょうか(聞かれても)

まあ、何が言いたいかと言われたら今年もよろしくお願いしますの一言に尽きますね!

では改めて。
あけましておめでとうございました(?)
まめでした!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ