俺様変態店長とバイトの私
□#04
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こんなタイミングでバイトに来るんじゃなかった…
俺様変態店長とバイトの私
#04
学校が終わって、いつも通りバイト先へと来た。
「おはようございま…」
「店長、サイテーっ!!」
パンッ
休憩室に入った途端聞こえた声と、何かを叩く乾いた音。
驚きながら正面を見据えてみれば、そこにいたのは左頬を赤くした店長と、大学生のお姉様。
店長がぶたれたのは明らかだったけど、二人のただならぬ雰囲気に何かを言うことなんて出来ず、その場に立ち尽くしていた。
しばらくして、何も言わない店長に痺れを切らせたのか、お姉様が無言で休憩室を飛び出していった。
残された私と店長の間に静寂が訪れる。
…気まずい…
「…追いかけなくていいんですか?」
「ほっとけ」
沈黙を避けようと声をかけたけど、余計に気まずくなってしまった。
この場にいるのをやめようと、女子更衣室に足早に向かった。
に、してもすごいタイミング…
修羅場なんて、初めて見ちゃったよ…。
でも、店長冷たすぎやしないか!?
喧嘩の理由はわかんないけど、自分の彼女があんなに怒ってたら普通追いかけるよね!?
「店長、こんなこと私が言うのは変なんですけど」
「…なんだよ」
「自分の彼女ならもっと大事にした方がいいですよ」
「……は?」
「喧嘩が悪いことだとは思いませんけど、付き合ってるもの同士、相手の気持ちも考えなきゃ!」
いや、私付き合ってる人いないし、偉そうに言える立場じゃないのはわかってるんだけど、店長の態度見てたら黙ってなんていれなかった。
思っていることを伝えながら着々と着替えを進め、制服のブラウスを脱いだとき、有ろうことか勢いよく更衣室の扉が開かれた。
「ちょっ!?!?」
開けたのはもちろん店長で、咄嗟に胸元を隠すようにブラウスを抱き抱える私に向かってきた。
その勢いに驚いて後ずさるものの、あっという間に壁際まで追い詰められて、店長の腕の間に挟まれた。
「ななな、なんなんですか!!」
「お前、勘違いしてんぞ」
「は?」
勘違いって何?
ていうか、店長顔近すぎるっ!!
赤くなりそうな顔を隠すように視線を反らして、聞き返した。
「俺は、あいつと付き合ってねぇ」
「え?や、だって、店長あの人と一緒にいるのよく見るし…」
「それはあいつが寄ってくるだけだ」
「じゃあ、なんで殴られたんですか!?」
「ああ。あれはあいつが男いんのに俺と付き合うとか言ってっから“お前みたいな尻軽女興味ねぇ”って言ってやった」
店長ひどっ!!
いや、あのお姉様もひどいけど…
でも、そっか付き合ってないのか。
私の誤解だとわかってホッと一息つく。
…ん??
なんでホッと??
訳のわからない感覚に首を傾げたとき、
「お前、今ホッとしただろ?」
「なっ!?」
なぜわかるんだと、顔を上げればいつものニヤニヤした店長の顔。
「俺とあいつが付き合ってなくて、そんな嬉しいのか」
「なななっ!?そんなこと言ってないっ!!」
「照れんなよ」
どんどん顔が近づいきたかと思えば耳元で喋られて、顔が更に熱くなっていく。
顔を背けようにも店長が近すぎて動けない。
店長は店長で何故か楽しそうな顔してるし、それがまた思い通りみたいでムカつく。
「照れてませんってばっ!!」
反抗するように手に持っていたブラウスを店長に向かって振り回したけど、店長は余裕で交わして扉の方へと戻っていく。
「さっさと仕事しろよ」
「その言葉そっくりそのままお返ししますよ!!」
叫んで言い返すけど、店長は表情を変えることなくこっちを見てる。
「いい眺め」
「!?」
急いで胸元を隠せば店長は笑って更衣室を出ていった。
なんなのよ…
店長にからかわれるのも、セクハラ紛いなことをされるのもいつものことなのに…
なんで、
なんでこんなドキドキしなきゃいけないのよ!
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