すとろべりぃパフェ
□成敗
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渋沢「で、痴漢を捕まえたのか?」
リノ「そ、それがー、そのー…」
藤代「なんだよ!痴漢だって叫んだんだろ?」
リノ「それはそうなんだけど………捕まったのは三上先輩で…」
笠井「は?」
リノ「その、あたしが叫んだもんだから被害者はあたしだと思われたみたいで近くにいた三上先輩に疑いの目がいって、次の駅に着くなり連行されちゃった…みたいな?」
三上「みたいな?、じゃねぇよ!てめぇが俺のこと痴漢か?って聞かれて“そうです”なんて答えたからそうなったんだろうが!!」
リノ「それはちゃんと後で否定しにいったでしょう」
三上「ふざけんな!だいたい否定しに来んのが遅せぇんだよ!その間お前どこに行ってやがった!?」
リノ「被害にあった子に話を聞きに行ってたんです」
三上「!?」
そのあたしの言葉に三上先輩は黙り込み、全員あたしを見つめる。
リノ「だいぶ怯えた様子だったけど、色々話してくれました」
笠井「何かわかったの?」
リノ「顔」
竜也「見たのか!?」
リノ「うん。被害にあってる最中ちらっと見たらしくて。しかも同じ駅で降りてたの」
藤代「じゃあ捕まえられるじゃんか」
リノ「そう簡単にはいかないよ」
藤代「どうして?その子に言ってもらえば」
リノ「顔を見たって言っても証拠があるわけじゃないから言い逃れされるだけ。それに、ただでさえ怖い目にあってるのにそれは頼めないわ」
逆上されて更に傷つけるわけにいかない。
リノ「…あい、ごめんね。捕まえることが出来なくて」
あい「リノが悪い訳じゃないよ。でも許せない。他にも被害が出てるなんて」
リノ「うん。けど顔がわかった以上、次こそは捕まえてみせる」
三上「どうするつもりだよ?お前の顔はばれてる可能性あるだろ」
リノ「うん。だからあたしが囮になることはできない。…パターン2でいきます」
パターン2?と首をかしげる面々を見ながらあたしはニヤリと笑う。
***
翼「それで僕のところに来たってわけ?」
リノ「そう!で、椎名くんにしてもらうことは…」
椎名くんの家にやってきて、事情を話し、重要なことを言い掛けたところで扉を閉めようとする椎名くん。
そうはさせまいとあたしはすかさず足を隙間に挟み込む。
リノ「なんで閉めるの!?」
翼「その後のセリフが嫌だからに決まってるだろ」
足を挟んだまま扉を閉めようとする椎名くんに、開けようとするあたし。正直足がめちゃくちゃ痛いけど引くものか!
リノ「あいが困ってるのに助けようと思わないの?」
翼「!…それは」
リノ「可愛い可愛いあいがひどい目にあったっていうのに椎名くんはただ黙って見てるだけ!?」
翼「…」
リノ「幼なじみとして、お隣さんとしてそれはどうなの!?」
あたしの言い分に椎名くんはひとつため息を吐き出した後ゆっくりと扉を開けた。
翼「…わかったよ。協力する」
リノ「さっすが椎名くん!」
小さく拍手を贈ってから椎名くんをじっと見つめた。
リノ「それじゃ、来週の日曜日しっかり働いてね」
にっこり頬笑んだあたしに椎名くんが顔を歪ませたのは見なかったことにしよう。
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