すとろべりぃパフェ

□友達
3ページ/7ページ


女子棟に着くなり走るのを止め遠藤さんと向き合い両肩をつかんだ。



リノ「大丈夫!?具合悪い!!?」




顔を近付け過ぎたせいかあたしを見て少し驚いた様子の遠藤さん。




あい「え?う、ううん。大丈夫」

リノ「ほんと?よかったー…なんか顔色悪く見えたから」

あい「違うの。えっと、その…あの二人の先輩がいたからなんていうか…」




あー…なるほど。そういうことか


言葉を濁しながら話すけど、なんとなく察しが付いた。
この子も放課後、サッカーグラウンドのフェンスの外に集まって黄色い声援をとばす女の子たちと一緒なのか。


少し残念に思いながら遠藤さんから目を逸らした。




あい「その、苦手で…」

リノ「え!?苦手!?どうして?」




てっきりファンとかミーハーだという答えが返ってくるものだと思ってたから、意外な回答に驚いた。
遠藤を見つめると今度は彼女に視線を逸らされた。




あい「…サッカー部の人たちって、そこにいるだけで輝いてて、魅力的で、たくさんの人たちから親しまれてて、まるで違う世界の人のような感じがして…。何だか近づいちゃいけない気がして」

リノ「…」

あい「ごめんなさい!同じ部の人たちなのに失礼だよね!」

リノ「いや、それは別に…。なんていうか、そういう考え方の人もいるんだってびっくりしちゃった」




謝ってきた遠藤さんだがあたしの言葉に首をかしげる。




リノ「輝いて、魅力的だからこそ近づいて親しくなりたいって憧れが出てくるのかと」

あい「憧れがないわけじゃないの。すごいと思うし、でも…」



リノ「…ストロベリーパフェ」


あい「え?」




脈絡のない単語に驚いて小さく目を見開く遠藤さん。




リノ「前にね、後輩と美味しいって評判のパフェを食べに行ったことがあって」




あたしは以前、有希とみゆきちゃん、しーちゃんと出かけた話を始めた。
話が急に変わって初めは驚いてたけど遠藤さんは真剣に話を聞いてくれている。




リノ「苺がふんだんに搭せられて、見るからに甘そうだったんだけど、いざ食べてみるとものすごく酸っぱくて…まぁ、クリームと調和されて美味しかったんだけどね」

あい「評判通りだったんだね」

リノ「うん。でね、何が言いたいかっていうとそのパフェと人も同じなんだと思うの」




「同じ?」そう言ってあたしを見つめる。
その眼差しに答えるため話を続けた。




リノ「甘そうな見た目のパフェも食べてみれば印象はがらりと変わる。同じように人だって、関われば関わるほど色んなことがわかって、知れて、印象が変わっていくと思う」

あい「…」

リノ「まぁ、全員癖のある人たちばっかだけど、悪いやつじゃないのはあたしが保証する。同じ場所にいるんだもん、違う世界の人だなんて思わないで」




誰にでも苦手意識はあるけど、この子には彼らを少しでもわかってほしくてさりげなくアピールしてみた。

でも余計だったかな?
また彼女は申し訳なさそうな表情になる。




あい「私、本当に失礼だよね…ごめんなさい、工藤さん」

リノ「リノ」




え?という言葉とともに顔を上げる遠藤さん。
目があったところでにこりと笑う。




リノ「謝らないで。それにあたしはもっと遠藤さんと仲良くなりたい。だから名前で読んでくれないかな?」

あい「え、えっと…あの」

リノ「嫌?」

あい「嫌じゃないよ!私も工藤さんと仲良くなりたい」

リノ「じゃぁ、決まり!」




あと、あいって呼ばせてもらうね!と、ちょっと強引だけどそう言ったあたしにあいは頬を染めて頷いた。






可愛すぎるっ!!!




こうして高校生活初の女友達ができました。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ