すとろべりぃパフェ

□ボーリング
3ページ/8ページ


ボールを選び、いくつかのレーンに別れゲームのスタートの準備をしていく。




みゆき「いきなりのことだったんですけど、先輩たち忙しかったんじゃないですか?」

竜也「いや、特になにも予定はなかったから大丈夫だったよ」




その答えにみゆきちゃんはほっとした表情を浮かべる。
どうやらこのボーリングは後輩たちの企画だったらしく、それを聞いた高井がうまく調整なんかをしてくれたらしい。

やるじゃん、高井!




リノ「あたしも何もなくて、荷作りしようかと思ってたぐらいだし。誘ってくれて嬉しいよ」

みゆき「荷作りって…リノ先輩もしかして、高校都内じゃないんですか!?」




あたしの何気ないセリフを聞き逃すことなく、驚きながら聞き返された。


周りも驚いてたけど、特に竜也が身を乗り出すほどに食いついてきた。




竜也「そうなのか!?それで、俺たちには何も言わないで引っ越そうっていうのか!?」

リノ「いやいやいや、違うって。落ち着いてよ竜也。確かに引っ越しはするけど、都内だから。高校もそこから近いとこに通うの」

有希「どうして引っ越しなんてするの?」

リノ「あー…ほら、あたし今、親変わりの人と住んでるでしょ?いつまでも一緒に住んで頼るわけにいかないし、高校に入ったら自立しようって思ってたの」




あたしは小さいときに訳あって両親がいない。親戚たちにも引き取られず、父の友人が引き取って育ててくれた。




竜也「なんでそんな大事なこと言わないんだよ!」

リノ「竜也に言ったら、きっとうちに来いとか言うでしょ?それじゃダメなのよ。頼ってばっかじゃ今までと変わらない…あたしはね、あたしの足で自分の道を見つけたいの」




竜也は優しいから、いつもあたしを気に掛けてくれる。
だけど、そのままだとあたしはどんどん弱くなる気がするんだ。



竜也はあたしの目を見て、「お前は言いだしたら曲げないもんな」とため息をつきながら納得してくれた。

それが、素直に嬉しくて笑った。




有希「でもね、リノ。頼ることは決して悪いことじゃないよ」

リノ「うん、そだね。こんなこと言ってもいざというとき竜也のこと頼りにしてるから。何かあったらよろしくってことでっ!」




右手を上げてニカっと笑うあたしに竜也は眉を下げて頬笑む。




竜也「わかった。よろしくしてやるよ」

リノ「へへー。サンキュー!」




緊迫した空気も消え、ボーリングを始めようかと、森長の言葉でみんな動きだす。

その間、あたしの引っ越しのことで話は持ちきりだった。



そんな中ずっと黙っていたシゲが口を開いた。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ