すとろべりぃパフェ
□ボーリング
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ボールを選び、いくつかのレーンに別れゲームのスタートの準備をしていく。
みゆき「いきなりのことだったんですけど、先輩たち忙しかったんじゃないですか?」
竜也「いや、特になにも予定はなかったから大丈夫だったよ」
その答えにみゆきちゃんはほっとした表情を浮かべる。
どうやらこのボーリングは後輩たちの企画だったらしく、それを聞いた高井がうまく調整なんかをしてくれたらしい。
やるじゃん、高井!
リノ「あたしも何もなくて、荷作りしようかと思ってたぐらいだし。誘ってくれて嬉しいよ」
みゆき「荷作りって…リノ先輩もしかして、高校都内じゃないんですか!?」
あたしの何気ないセリフを聞き逃すことなく、驚きながら聞き返された。
周りも驚いてたけど、特に竜也が身を乗り出すほどに食いついてきた。
竜也「そうなのか!?それで、俺たちには何も言わないで引っ越そうっていうのか!?」
リノ「いやいやいや、違うって。落ち着いてよ竜也。確かに引っ越しはするけど、都内だから。高校もそこから近いとこに通うの」
有希「どうして引っ越しなんてするの?」
リノ「あー…ほら、あたし今、親変わりの人と住んでるでしょ?いつまでも一緒に住んで頼るわけにいかないし、高校に入ったら自立しようって思ってたの」
あたしは小さいときに訳あって両親がいない。親戚たちにも引き取られず、父の友人が引き取って育ててくれた。
竜也「なんでそんな大事なこと言わないんだよ!」
リノ「竜也に言ったら、きっとうちに来いとか言うでしょ?それじゃダメなのよ。頼ってばっかじゃ今までと変わらない…あたしはね、あたしの足で自分の道を見つけたいの」
竜也は優しいから、いつもあたしを気に掛けてくれる。
だけど、そのままだとあたしはどんどん弱くなる気がするんだ。
竜也はあたしの目を見て、「お前は言いだしたら曲げないもんな」とため息をつきながら納得してくれた。
それが、素直に嬉しくて笑った。
有希「でもね、リノ。頼ることは決して悪いことじゃないよ」
リノ「うん、そだね。こんなこと言ってもいざというとき竜也のこと頼りにしてるから。何かあったらよろしくってことでっ!」
右手を上げてニカっと笑うあたしに竜也は眉を下げて頬笑む。
竜也「わかった。よろしくしてやるよ」
リノ「へへー。サンキュー!」
緊迫した空気も消え、ボーリングを始めようかと、森長の言葉でみんな動きだす。
その間、あたしの引っ越しのことで話は持ちきりだった。
そんな中ずっと黙っていたシゲが口を開いた。
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