すとろべりぃパフェ

□頼みごと
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あたしがいれたコーヒーをみんなでまったりと飲んでいた。

…約二名を除いて。




シゲ「そういや、今日はなんで郭らが来てん?」

リノ「あたしが呼んだのよ。この前のお詫びも兼ねて」

あい「この前?」

渋沢「少し前、工藤がいなくなったときのことだよ。郭が工藤を見つけてくれたんだ」

あい「そうだったんですか!!」




あいが珍しく声をあげるものだから、あたしだけじゃなくみんなビックリした。




あい「あの、その節は、リノを見つけてくれてありがとうございました」

英士「え?」

リノ「なんであいがお礼!?」

あい「だって心配だったから」

リノ「あい…もうっ大好きっ!!」




あまりに嬉しい発言に人目も気にせず豪快に抱きつく。
この子はなんていい子なのっ!

抱きついた体勢を変えずに英士に向き合う。




リノ「でも本当にあの時はありがとね、英士」

英士「もういいよ。あ、あとこれ母さんからリノに」

リノ「え?わ!!キムチ!!ありがとう」




まさかの英士ママからのお土産にテンションがあがる。
あいから離れ、キムチを受け取っていると急に全員が静かになったので不思議に思って視線を変える。




リノ「?どうしたのみんな急に黙って」

三上「…お前、なま」

藤代「工藤って郭のこと名前で呼んでたっけ?」

リノ「あ…起きたの?」




まだしばらくは眠っているかと思った藤代が起き上がって、前のめりになって聞き込んでくる。
あ、若菜くんも起きてる。




若菜「確かあの時泊まったって言ってたし…お、お前らほんとは…っ!?」

英士・リノ「「あるわけない」」




可笑しなことを言いかける若菜くんを遮るように、英士とタイミングよく言葉を被せる。





若菜「じゃあなんで名前呼びなんだよ?」

リノ「郭くんって言いにくくない?だから英士って呼ぶことにしたの」

藤代「えー!!それだけ!?」

リノ「それだけだってば」

若菜「じゃあさ、じゃあさ!俺のことも名前で呼んでよ!!」




俺もリノって呼ぶし!と、さも閃いたように目を輝かせて言う若菜くん。





リノ「別にいいけど…」

若菜「おう!じゃあ俺が結人で、こっちは一馬な!!」

真田「おれも!?」

リノ「わかった。結人に一馬ね」

結人「おう!あ、よかったらあいちゃんも名前で呼んでな」

あい「へ?…い、いいのかな?」

リノ「いいんじゃない?向こうも勝手に名前呼んでるし」




「そっか」と、どこか嬉しそうなあい。
まぁ、からかったのは許せないけど、あいが笑ってるから今日のところはよしとしよう。




藤代「なんか楽しそうだし、俺らのことも名前で呼んでよ!」

リノ「却下」

藤代「なんで!?」

リノ「いまさら呼びにくいし、第一同じ学校で急に呼び方が変わったら色々面倒なの」

藤代「色々ってー?」




疑問符を浮かべて聞いてくる藤代。
心なしか三上先輩たちも理由がわからないようでこちらを見る。




リノ「わかってないですね、竜也を含め、あなたたち五人が学校でどんな立ち位置か」

三上「は?」




ため息をつきながら、びしっと指をさして説明する。




リノ「いきなり呼び方が変わろうもんなら、君らのファンクラブが黙ってないのよ!!」

笠井「え!?ファンクラブ??」

リノ「そう!誤解なんかがうまれたら大変なの。渋沢先輩と笠井くんの取り巻きはまだいいとして、三上先輩と藤代のはタチが悪いわ!!」

三上「それ、俺ら関係ねぇだろ」

リノ「躾がなってないのよ!」

藤代「聞いてる!?」




改めて三上先輩と藤代を指さして強く言い放つ。
竜也のも若干アレだけど、いとこってことであたしの周りにはあまり被害はない。




リノ「そういうわけで、あなた方を名前で呼ぶことはないから」




あいにも呼ばせないでよね!と念を押して、この話は終わりだと言わんばかりにコーヒーに口を付けた。





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