せっかくの釣りも台無しだ
お昼過ぎから天候に恵まれず急遽ラッセルんちに上がることになった。

「お邪魔しま、おーぅ…」


ランピーが久々にラッセル宅にあがりこむと思い出したようにうんざりする
なぜならラッセル宅はオカメインコやセキセイインコ、はたまたどこか南の島にでもいそうなオウムやインコがたくさんいるからである。
家の中ワンルームは鳥専用で仕切られておりリビングまでは羽が飛び散らからないようになってはいるがやはり鳴き声がうるさい。

「今お茶いれるから待ってて!あっ、シロに手いれると噛むから気を付けてねー」
「どれかシロだかわかんねーよ…
つうか鳥興味ないから大丈夫、触ることはしないから」


パタパタとランピーの声を聞くことなくラッセルは台所に消えていった。
座ってるだけでもう目の前の鳥の部屋からピーピーと鳴き声のBGMが流れてくる

俺絶対こんな家いたらノイローゼになりそうだな…


「はい、ランピー」
「おう!ありがとう」


ちぇ。こうしてる間も相変わらずラッセル鳥に見とれてるな。
………
昔はラッセルこんなに鳥になんて興味なかったのに
いつからこんなに鳥に依存してしまったんだろうか?
前は俺と釣りを楽しんだり、一緒に飲んだりしてたことが多かったのに。
今は鳥にぞっこん。俺といるより鳥と一緒がいいっていうのか

ラッセル…

あっ、いい大人がかまってくれなくてヤキモチとか…俺何やってんだか、

…でも。


「なぁ、ラッセルはこんなに鳥がいて今幸せか?」
「ん?そりゃあ幸せだよ!俺鳥だいっすきだもん!」
「そうか」

今の言葉、チクリときたな
その笑顔も、辛い
もういい。何かやるせなくなってきたから

「ラッセル、邪魔したな。俺そろそろ帰るわ」
「えっ、…ちょっと待ってよランピー!」

ラッセルが腕にしがみついてきたから仕方なく振り替えってみた
いい大人が半泣きとか…別に。ちょっと嬉しいと思ってなんか、

「ランピーにね、見せたいのがあるんだ」
「…?」

そう言って別の部屋につれてこられるとそこには、これまた南の島にいそうな少し大きくて青い鮮やかな体と頭に黒がはいったオウムが1羽大きい止まり木にちょこんといた。

「アオイちゃん、この人は誰?」

ランピーに目線を送るとしばらくして。

「らっせるノ、アイボー!」
「らっせるノ、タイセツナ、オトモダチ!」

「よくできたねアオイちゃん!
ランピー、聞いてくれた?!」

ラッセルは目を輝かせながらランピーと顔をあわせた


「ぷはっ」

お前はなんてこと教えてるんだよ
まったく。

「ありがとう、ラッセル」

俺を見て幸せそうに笑うラッセルにじんわりと嬉しくなる。
そうだ。せっかくだから

「アオイちゃん。ラッセルは世界で1番海賊バカ、言ってごらん?」
「らっせるハ、セカイデイチバン、カイゾクばか」
「そうそう!」
「ちょっとランピー!何教えてるのさ!違うよアオイちゃん、ランピーは世界で一番ダメな、おっさーん!」
「らんぴーハ、セカイデイチバン、ダメナオッサーン!」
「あっはっはっはー!」
「言ったなアオイちゃんめ、こんがり焼いてフライドチキンにしてやろうかー?!」
「…らんぴーノ、ばーか」
「なんだとぉ!ラッセルー!普段こんなことも教えてるのか!」


「ぷっ、」

「くくくっ」

「あっはははははは!!」


お互いバカになるくらい笑ったら何だかスッキリした。


ラッセル、これからもお前んちあがりこませろよ。





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