駄文短編

□※秘事…《契》
1ページ/4ページ


今はただ……



この心地好さに…



全てを委ねればいい…







「黒崎さん…」


「お風呂入りましょっか…!」



「え………?」



突然の申し出に間の抜けた顔で見上げる…



冷えきった一護の背中を撫でながら、口角が緩む……



「本当に風邪引いちゃます……先ずは身体暖めないと……」



腕に残る濡れた夜着を抜き取ると、自身の羽織を脱ぎ一護を包み込む……

浦原の温もりと匂いに抱かれて心地好さに安堵する……

一方我に帰る理性が先程の行為を否定しようとする……



我を忘れる程陶酔していた自身に羞恥し、自己嫌悪が襲う……



(いったいどーなっちまったんだ…俺…)



一気に充満した湯気に息苦しさを感じ、思考が鈍る…浴槽の縁に頭を乗せ寄り掛かる様に項垂れた……



「黒崎…さん…」


「後悔…してますか……?」



浴槽の縁に座り大きな掌が湿った髪をふわりと撫でる……



「違っ…そうじゃ無い…」

「そうじゃ無いけど………」



今の一護には次の言葉を予知出来なかった……



「頭で考えても無理っスよ……」


「こういう気持ちは言葉でも言い表せない……」


「今は……心と…身体に素直に従って下さい……」



膝を抱え背中を丸めた一護を軽々抱き上げる……



「ぐぁっ!」



「ポチャン……」



そのまま湯槽に足を入れる…



「ちょっ…ちょっと待って……濡れ…る…」



一護を抱えたまま湯槽に沈んで行く……



乾いた布が急速にお湯を吸い込んで、肌を擽り湯槽に泳ぐ……




「服…濡れちまったじゃねーか……」




照れ隠しのぶっきらぼうな物言いに浦原がくすりと笑う…



膝の上に座り背を向ける一護の肩を胸の中に引き寄せ包み込む…



「ほら…こうしないと肩まで暖まりませんよ…」



「あ゛っ!」


「はっ離せ…大丈夫だから……」



密着した身体を剥がそうと、もがく一護を腹部に腕を廻し押さえ込む……



「あんまり私を刺激しないで下さい……」


「我慢出来なくなっちゃうっスよ……」



背後から耳を擽る浦原の言葉に全身が紅色する……



身体が強張り全神経が浦原の言動に集中する。



「そをなに身構えないで下さい……」


「私はそんなに意地悪な狼じゃないっスよ……クスッ」



皮肉の一つも出ないほど張り積めた感情…



もっと羞恥の色を濃くしたいと悪戯心が擽られて、襟足に軽く触れた唇が張り積めた糸を立ち切った。



「あぁ……ぁっ…」



色付いた首が仰け反り肩に掛かる羽織がパシャと湯槽に落ちた…



露になった背中の溝を弾いたお湯が滑り落ちて行くのに視線が釘付けになる。



堪らず舌が雫の後を追う様に滑る……



「ひ…ぃぁぁ……」



必死に押し殺した甘声が更に浦原を煽り立てた……



「黒崎さんって…」

「とっても敏感なんスね…」

「全身が性感帯みたいっスよ……」



「違っ…ぅっ…」



追い討ちを掛けるように背中を人差し指でなぞり上げると、強張る身体が蕩けだす…



「あぁっ…ぃ…ぁ…」


全身に駆け巡る快感に身も心も解放されて逝く……



腹部に巻き付いていた手が上昇し胸の突起に触れると一護の身体が飛び上がった。



「ひゃぁぁ…っ」



指先で中心を弾くと直ぐに反応しピンと突き立つ…それを指で軽く摘まみ捻る……


「あぁんっ…ゃめ…あっ…」


不安定な膝の上から滑り落ちそうな腰を捕まれ引き寄せながら自身の方へ向けた。



「見……るな……」



全身の血液が一気に上昇し激しく波打ち胸が破裂しそうになる……

食い入るように見つめる浦原の瞳に耐えきれずに、俯き視線を外す……

直ぐ様顎を掴み視線を絡ませながら顔を近づけて囁く……



「そんな顔……他の人には見せないで下さい………」


「私だけです……」



吸い寄せられる唇…



啄むように軽く何度も重なる唇が物欲しそうに口を開ける……

滑り込んで来る舌が練っとりと絡み付く…



「んふ…んんぅっ…」



甘く痺れる感覚を更に欲する様に自ら舌を絡ませる……音を立てて理性が崩壊して逝く…



夢中で浦原の首にしがみ付き、舌の潜入を深くする…



我を失う一歩手前で浦原の滴る舌が遠ざかる……



「あぁ……ん…」



「いいんですか……」


「ここで……」


「このまま続けて…」


離れた唇を追い掛けながら訳も分からず頷く……


(このまま……?)


(何を………)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ