駄文短編

□※秘事…《慰》
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スタートの遅い休日の朝……


辺りはまだ静まりかえっていた……



静寂の中……



浦原商店の一室に、叫び声が響いた……



「どあぁぁ…ぁっ!!」


布団をはね除け、飛び起きる……


「はぁ…はぁ……」


荒い呼吸…額に張り付く橙色の髪…蒼白な顔……


両手で顔を覆い、大きな溜め息を吐く……


その直後、勢いよく襖が開いた……


「どっどうしたんスかっ黒崎さんっ!」


「どぁ…っ!!」


慌てて布団に潜り込む一護……


その様子を見て、浦原がクスッと鼻で笑う…


「なっなっ何でもねぇ……」


精一杯平静を装うとするが、声が上擦りたどたどしい言葉……


「何でも無いって、こたぁないでしょう…」

「今の叫び声…尋常じゃなかったっスよ!」

「具合でも悪いんスか…?」


故意に一護に絡むように、話し掛ける…


「ほんと…何でもねぇ……」


(やべぇ…今日は修行なんて無理だ……)


全身が上気し、高鳴る鼓動が治まらない……


「それじゃぁ早く起きて、御飯食べちゃって下さい。」

「修行する時間無くなるっスよ!」


まともな事を言いながら、浦原の肩が小さく揺れていた…


「わりぃ…浦…原さん……」


「はいっなんスか?」


「今日の修行中止してくれなぃ…か……」


頭まで布団に潜ったまま、ボソボソと言う…


「やっぱり具合悪いんスか…?」


一護に近付き不意に布団を引き下げ、一護の額に自分の額を寄せる……


「顔…赤いっスねぇ…」


「わぁぁっ…!!!」


耳まで真っ赤にして更に布団に潜り込んだ…


「なんスかぁ…化け物でも見たようなリアクションは……」

「軽くショック受けたっスよ……」


予想以上の反応を示す一護が可愛くて、もっと見たいと欲が出る……


「わりぃ……」


「考え事して……ボーッとしてたから…びっくりして……」


浦原を気遣い、一生懸命取り繕う…



「それならいいんスけどね…」

「じゃあ、修行は中止って事で…集中力無いと怪我しますからね……」

「ゆっくり休んでて下さい…私はちょっと出て来ますので、二〜三時間留守番よろしくっス…」



浦原の気配が遠ざかって行く……



大きく安堵の溜め息を吐く……



布団を足で押し退けながら起き上がる…


上気した身体を頭から布団で覆っていた為に、寝乱れた夜着が肌にまとわり付いて鬱陶しかった……



「何なんだ…クソッ…」



頭を激しく掻きむしって、また溜め息を吐く……


(何なんだ……あの夢は……)


(あんな事……)


(何故…男と……)


(しかも相手が……)


(何で頼によって浦原さんなんだっ!!)



「ガァァ――ッ!!」


どん底に落ちる精神…

酷く落ち込む……



再び布団に身体を投げ出し目を閉じる……


無意識に脳裏に浮かぶ夢の中の情事……


余りにも生々しくて、全身が身の毛立つ……


何度振り払っても、夢の中の浦原が現れ名前を呼ぶ……



一護………



「浦……原…さん…」



脳内から分泌されるアドレナリンが一護の欲望を駆り立てる…


「……っ!?」


変化を表す自身に激しく動揺した……



「はっ……!」



思い付いたように立ち上がると、トイレに駆け込む……


(そうだ…そのせいだ……)


自分に言い聞かせ、納得しようとした…


「クソッ出来ねぇ…」


行き場の無い苛立ちを壁に叩き付ける…



腹部に当たる程、上を向いたモノは、用を足せる状態では無かった…


それでも引力に逆らうモノを握り、無理矢理下に向ける。

待ち構えていた感覚が一気に押し寄せて、身体中に甘い痺れが廻った……


「あっ…ぁ……」


慌てて手を離す…


(どうすりゃいいんだ……)


「熱…い……」

(熱を冷ませば…!)

直ぐ様風呂場に向かい、温度をCに合わせると、シャワーを全開にした……



頭からシャワーを当て立ち尽くす……水を吸って重く張り付く夜着から勢い良く水が流れ行く……


次第に手足の感覚が無くなり、血の気が引き震えだす…


「クソッ…!!」


壁に凭れ力無くズルズルとしゃがみ込んだ……


開き直ったかのように、夜着の裾を割り開き下衣から自分のモノを掴み出す。


身体中が冷えきってもなお、熱く波打つ自分自身に苛立ち、荒々しく上下に動かし出した。


(こんなのただの排泄行為だ…)


(出せば終わる…)


何度も自分に言い聞かせる……


徐々に目覚め出す感覚……

「はぁ……はぁ…」

速まる呼吸…

甘く痺れる感覚に陶酔して行く…



でも…そこから先には進めなかった……
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