駄文短編

□※秘事…《淫》前編
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「キーンッ…」

鳴り響く金属音…


「ズドーン…ッ」

激突する霊圧…



「そろそろ終わりにしまスかぁ〜黒崎さ〜ん」


「はぁ…っはぁ… いや、まだだっ!」

瓦礫の中から斬月を支えにしてヨロヨロと立ち上がる。


「無茶な修行は、魂魄を痛め付けるだけっスよ…」


「はぁ…はぁ…大丈夫だっ!」


ふらつきながら斬月を構えた瞬間、喉元に紅姫が当てがわれた…


「言ったでしょ…紅姫は優しくないっスよ……」


「うぐっ…!!」


気迫に負け、倒れる様に座り込んだ……



「は〜い、それでは今日の修行は終了って事で飯にしますかぁ〜」



昨日……



休日を利用しての修行を頼んだのは、一護だった……


「もっと強くなりてぇ…」

「みんなを護れる力が欲しい…」


気持ちばかりが先走っていた…



「すまないっスねぇ…」

「みんな留守にしてて、こんな物しかなかったんスよ…」

食事の支度をしながら浦原が呟く…


「そういえば、みんな何処に行ったんだ?」

「仕入れ次いでの骨休めっス。」


「そっかぁ…」

「わりぃ…俺の勝手に浦原さん付き合わせちまって…」


「いっスょ」

「私もたまには身体を動かさないと、鈍っちゃいまスから…」

「さ、さぁ食べましょ」


他愛ない会話をしながら食事を済ませ、疲れた身体を風呂で癒した…


「浦原さん何から何まで、ほんとありがとなぁ…」


「な〜に言ってるっスかぁ」

「元はと言えば、私の責任も有りまスから…」


隣の部屋に布団を敷きながら呟く…


「いや…浦原さんのせいじゃねぇーよ…」

みんなを護る為の力…きっかけはどうであれ、俺が欲しかった物…それを与えてくれた人達…必ず恩は返したい……

それにはもっと強く…


ちゃぶ台に肘を付きながら思いを巡らす…



瞼が重くなる……



ふと視界に入った戸棚の硝子の瓶に入った焦げ茶色の物…


「おっチョコ♪」

「浦原さんっこのチョコ食っていいかぁ?」

と言いながら、口に方張る…


ちらりと一護の手にした瓶を見ながら浦原が言う…

「あっそれは……」



「ウゲェーッ!」



「チョコじゃないっスよ!」



「何だよっ早く言えよ!食っちまったじゃねーかぁ!」

「何だっ!このクソ不味い物は…」

「匂いはチョコなのに…!」



「まぁ身体には害はないっスから…」


「疲労回復の薬みたいな物っスよ。」


「黒崎さんにはちょ〜っと効き目が強いかもしれませんが…」


クスッと小さく笑いながら、独り言の様に囁いた。


「じゃあ私は風呂入って来ますから、黒崎さんは、先に休んで下さい。」

「明日も朝早いっスからねぇ…」


「あぁ…」

半分閉じかかった瞼を擦りながら頷いた…



風呂から出て来た浦原が、ちゃぶ台の上に伏せる一護に声を掛ける…

「黒崎さ〜ん布団で寝ないと風邪引くっスよ…」



「クスッ…薬効き過ぎちゃいましたかぁ?」


肩を揺り起こすと、そのまま浦原の腕の中に倒れこんだ。

「やっぱり寝顔はまだまだ子供っスねぇ…」


あどけなさが残る無防備な寝顔を見ながら目を細めた。


「でも…貴方は魅惑的だ…黒崎さん…」

「大人の私でさえ魅了される…たぶん他にも貴方を狙ってる人達は大勢いるはずです…」


一護の唇に指を這わせながら愛惜しむように囁く…


「黒崎さんがカカオの香りに釣られて口にしたのは催眠効果の高い媚薬っス…間違えて食べた…と思ってますけど、意図的に私が仕向けたんっスよ…」

「疲れた身体に好物のカカオの香り…食べたくなるっスよねぇ…」


「でも…眠ってちゃ詰まらないっスよ…」


「一護……」


一護の瞼がうっすら開き、琥珀色の瞳が浦原を見つめる…

「う…らはぁ…さ…」


「貴方は今夢の中っス……」

「これから私がする事…全て夢の中の出来事…だから安心していいっスよ…」

「朝になれば夢だった…で済みますから…」


「一護……」


「私だけの物です…」



頬を撫でながら唇をそっと重ねる…


一護の身体がビクンッと反応するが、すぐに和らいだ…

媚薬の効果で心も身体も解放状態になっているせいか、浦原の舌をすんなりと受け入れる…


口腔内を舌でなぞられ、戸惑う一護の舌を優しく誘導し、絡み付き軽く吸う…浦原の舌使いに翻弄され、力の入らない腕を浦原の首に絡ませた…


「んっぅ…んくぅ…」


一護から漏れた甘声…

身体が淡紅に染まって行く…


濡音を立てていた唇が、頬を伝い耳たぶを軽く噛む…

「あっ…ぁぁん…」

細い首が大きく仰け反り、浦原の服を強く掴む…

「身…体が…熱ぃ…」

潤んだ琥珀色の瞳から流れる雫を唇でぬぐう…


「大丈夫っスよ…」

「一護はただ向上感に身を委ねればいいだけっスから…」





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