駄文長編

□闇の太陽《奪》
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「くっくっくっ……」


卑屈な笑い声をあげながら、ジリ…ジリ…と間合いを積めて来る浅葱色の男……



狂気から逃れようと、立ち上がり背を向け走り出すが、意図も容易く腕を掴み、捩じ上げる……


「ゥグッ……!!」


必死で苦痛に耐えながら、グリムジョーを睨み付ける…


「これ以上抵抗するなら、この腕へし折るぜ……」


「遣れよ……」


自分を奮い立たせるように、精一杯気丈な言葉を発する一護に腹立たしさが込み上げる……


「お前…昨日言ってたよな……俺が腕を切り落としって……」


「それが何だぁ?!」


「俺の腕も切り落とせよ……」


一護の物言いに、更に腹の内が沸きだって来る……


「何言ってんだ、てめぇ!?」

「そんな事したって、俺の腕が戻る訳じゃぇ!!…だいち…何の面白味もねえーだろがぁっ!!」


吐き捨てるような怒声が響く…


「俺が…欲しいのは、そんなもんじゃねぇ……」


捩じ上げた腕が緩む…と直ぐ様、身体を覆っていたシーツを掴んだ。


「やめ…っ……!」


肌を滑り剥がれて行くシーツを一護の手が追う…指先をするりと抜け、宙に舞った…



「見る……な……」


考えが浅はかだった事に落胆し震えながら、その場に崩れて行く……


(そうだ……コイツはそんな事では許してはくれない………)


気丈さも一緒に剥がれ堕ちて行った……



露になった薄紅に染った滑る肌……

紅く生々しい傷後…

自身が付けた首筋の赤紫の印さえ欲を掻き立てる…


(クソッ…どうしてヤツを見て、こんなにも欲情するんだっ…)


高ぶる本能に苛立ちが増す……


「フゥッ!!」


唾を吐き捨て、苛立ちをぶつけるように、一護に覆い被さり、組み敷いた…


「離…せ……っ!」


羞恥に揺れてなお、睨み付ける瞳……


押し寄せて来る征服感が、グリムジョーを突き動かした。



「んっ…!」



強引に重ねる唇…

逃げる顎を掴み、抉じ開けて、舌を捩じ込むと、逃げる一護の舌を捉え、激しく絡める…

唾液が口角から溢れ滴り、卑猥な音が一護の五感を刺激して逝く……

明らかに昨日とは違う舌の甘さに、堪えきれずに甘声が漏れた…


「んぅ…ぅくっ……」


グリムジョーの耳がその声を捉えると、ゆっくり唇が滴りを引きながら離れた……


固く閉じた瞼をうっすらと開くと、映る浅葱色の瞳…


その瞳が余りにも切なく潤み、細める仕草が一護を動揺させた。


低く静かなグリムジョーの声が響く…



「お前の…全てが欲しい……」



大きく見開き揺れる琥珀色の瞳……


強い光と意思を放つ浅葱色の瞳に、い抜かれたように視線を外せなかった……


再び重なる唇に一護の抵抗は怯んで逝った……




・・・




「バダンッ…!!」


勢いよく開け放たれた扉…


「一護……!!」


部屋の中からは一護の霊圧は感じられない……


「何処だ……」


暗がりの中に響く不気味な笑い声……


「フッフッフッ……」

「御迎えご苦労様…王子様……クックッ」


暗がりの中から現れたザエルアポロが、鼻で笑いながら言う…


「残念ながらここには居ないよ…お姫様は……」


「何処へ遣ったっ?!」


「僕じゃ無いよ……ここに来る途中で、野獣に襲われてねぇ……連れ去られてしまったんだよ……クックッ」


(グリム…ジョー…か…)


その様子を上気しながら話すザエルアポロ……


「ゲスが……」


「クッハハハ…」

「いいのかい…?お姫様の安否…気には、ならないのか…?クックッ…」


「何っ!?」


「アハハ…心配は要らないよ、ご機嫌なようだし…」

手に持つリモコンのスイッチを押すと、暗がりに浮かび上がるモニターに映った映像に凍り付いた……


橙色の髪を振り乱し、琥珀色の瞳から流れる雫……

グリムジョーに抱えられ、乱れ狂う一護の姿……

部屋中に響き渡る一護の甘声……


独占欲が狂気変わる…


「…そ…いつは…俺のモノだ………っ!!」


高ぶる感情が指先に集中し、虚閃がモニターを消滅させた……


ウルキオラの気配が消えた……


「あんなウルキオラ始めて見たよ……ホントッそそられるよ…黒崎一護……クックックッ」


ここにも黒い欲望が、渦巻いていた…





威圧する霊圧の元へ響転で向かう……


虚の森深くに辿り着いた時に異変は起こった……


いきなり現れた黒く淀んだ霊圧……


「…っ!?」

(あの時と同じ…いやっ、確実に肥大している……)


霊圧の源に辿り着いた時、予感が確信に変わった……


グリムジョーの上に馬乗りになり、自ら唇を重ねる一護の姿……


ウルキオラの気配に気付き顔を上げる…



「チェッ…邪魔者が来やがった………」





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