駄文長編

□闇の太陽《拒》
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重苦しい沈黙…



罪悪感に苛まれ、言葉が見つからない…


大切な人を深く気付つけてしまった事実は変えられない…



放出感で項垂れている一護にゆっくりと触れる…


反応しない身体…


顔に飛び散った精と、入り交じった涙を丁寧に拭い去る…


脱け殻の様な身体をふわりと抱き耳元で囁く…


「どうすればお前を守れるんだ……」


ピクッと反応した手がウルキオラの肩を掴む…



「あり…がと…」



言葉の意図が分からず、一護の瞳を見つめる…


「何を…言っている…?」


「思い出した…」


「お前が…誰かって事を……」


「一…護……」


頬を撫で唇を重ねようとした瞬間、手を払い除けた。



「お前が俺の敵だって事をだっ!!」



肩を掴む手から、上怒が伝わって来る…

血が滲む唇を噛み、睨み付ける…


「離せ…」


震える手がウルキオラの身体を押し退けた…





よろめきながらベッドを立つと扉へ向かう…



扉に手を掛けた瞬間、ウルキオラが腕を掴み、扉を遮った…


「何処へ行く…?」




「帰る…んだよ…」



「退け……っ!!」



「…っ!?」


扉の向こうに感じる霊圧…


「待て……」


一護に静止を促し、扉をゆっくり開ける…


「フッフッやっと気付いてくれたようだね……」


腰に手を当て斜めに立つ、ピンク色の男……


「劣り込み中すまないけど…」



「何の用だ……」



「用があるのは黒崎一護にだよ…」


一護に視線を走らせ、ニヤリと笑う…


「その後のデータ収集をさせてもらいたいのだけど、自宮まで御足労願いたいのだよ…」


「あっ、藍染様には許可済みだよ…」


閥の悪い訪問者に、溜め息混じりの返事をした…


「わかった……」


「支度が出来たら、俺が連れて行く…」



「いや…!」

「すぐに行く……」



後ろから声が響く…ウルキオラの腕を掴むと、隙間からピンク色の男と視線を合わせた。



「フッ…随分エロティックな格好をしているんだね…」


上下に動いたザエルアポロの視線をウルキオラが身体で遮る…


「まさにその最中だったのかな?ごめんよ…邪魔したようで……フッフッ」


シーツを引き剥がし、身体を覆うとウルキオラの横をすり抜けて行く……


「待て………」


その足は止まる事は無かった……



締まった扉の前で、呆然と立ち尽くすウルキオラがいた…





長く白い廊下を歩きながら、思考を巡らす…


僅かな記憶の欠片が、フラッシュバックして混乱する…


(俺をここに連れて来たのは、確かにウルキオラだ……)


(でも…あの部屋で何回も肌を重ねたのも事実……)


(クソッ頭の中がぐちゃぐちゃだ……)



「混乱してる…という事は、少しは何か思い出したのかな?」


見透かした様な笑みを浮かべながら呟く…



「お前…何を知ってる…!?」



「くっくっ何をって、全部知っているよ…」
「記憶を無くす前も、何故そうなったのかも…」



間合いを詰め壁に追いやると、両手で逃げ道を塞ぎ、食い入る様な眼差しで言う…

「君…凄くそそるよ…ウルキオラが夢中になるのも同感だよ…」

「フッフッもっと色々調べて見たいよ…」

「身体の隅々まで…」

指先で喉から顎に線を引きながら、眼鏡の奥の瞳が一護を凍らせる…


身体から血の気が引いて逝く…


(ウルキオラ……)

無意識に脳裏を揺らす名……


「ドスーンッ…」


息が詰まりそうな威圧する霊圧……


(この霊圧は…!?)


「楽しそうな事してるじゃねぇーかぁ!」


「グリム…ジョー…!」


「そいつは俺の獲物だぜ…!」


「フッ僕は別に横取りするつもりはないよ…ただ、色々調べなきゃならないだけだよ…」

「藍染様の御命令でね……」


「言ってろ…クソがっ!!」


動けずに狼狽える一護の腕を掴むと、肩に背負い上げ、グリムジョーは消えた……


「まったく…勝手な行動を……」


「まぁ、いい…僕は気が長いからね…後でゆっくり楽しむ事にするよ……」

含み笑うザエルアポロが呟いた…




「一護…?!」

一護の霊圧が激しく揺らぐ…異変に気付いたウルキオラは部屋と飛び出すと、ザエルアポロの自宮へと向かう…

グリムジョーに連れ去られた事には、まだ気付けずにいた…


虚夜宮から一護を連れ出し、響転でひたすら走る……



虚圏の奥底…虚の森…


足を止め一護を放り投げるように下ろす…


恐怖と混乱が入り交じった瞳が揺れる…


(逃げなきゃ……)


身体を引き摺り、後退る……


「てめえはもう逃げられねぇ…!」

「諦めて大人しくしてた方が身の為だっ!」


「いっ嫌だっ…ぁ!」



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