駄文長編

□闇の太陽《癒》
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今は眠れ…


少しでも心と身体が癒えるように……



催眠効果の高い安定剤を飲み物に混ぜ、故意に寝かし付けた。

ウルキオラは一護の側を片時も離れずに霊圧で包み込む…大切なモノを誰にも触れさせないように……





ウルキオラも何時しか意識を無くしていた……





頬に当たる布の感触で覚醒した…

肩に掛けられた布…?一護…?手に取りながら、ベッドに視線をやると、一護の姿が無いのに気付いた。



「一護……っ!?」





「なんだよ…そんなデカイ声で、呼ばなくても聞こえるって…」



声のする方を目で追い…一護を探す…

シーツに包まり出窓に腰掛け微かに微笑んでいた。


衰弱した顔…霊力も燭程しか感じ取れない…


「ウルキオラ……」


「腹減った…それから風呂入りてぇ、あと服も…!これじゃぁ動きづらいし……」



「………?!」


あまりにも普通の問いかけに、すぐに言葉が出なかった。



「まぁ、あれだ…考えてばかりじゃ前に進まねぇし…ウルキオラは記憶を無くす前の俺知ってんだろ?」



「あぁ少しは…」



「じゃあその辺から思い出していくかっ!」



「取り合えず死神だったって事は覚えてるみたいだ……」



「…!?」



「昨日無意識に斬魄刀を探してたから…」



「ここには無かったけど…」



「心配するな…」

「俺が責任を持って預かっている。今のお前には道程扱えなどしない…逆に斬魄刀に飲み込まれてしまう…霊力が回復してからでないとな……」



「そうなのか…使えば感覚で何か思い出すかもって思ったんだけど…」

「ちっ、しょうがねえな…」



小さく舌打ちしながら呟いた。





「じゃあ取り合えず風呂入るかっ!」


「傷の状態を見てからだ…」


「堅いこと事言うなよ!」



軽快に出窓から降りたが、シーツに足が縺れ倒れそうになった一護をウルキオラの腕が受け止める…


「また傷口を開くつもりか……?」



「わりぃ…」


シーツから露出した身体に残るグリムジョーが付けた印…唇に残る血の固まり…どれも今すぐ自分の印で消し去りたかった…


「………」


血液が上るのを抑え、無言の一護に頭からシーツを掛け抱き上げた…



昨日の事は何も語らない…ならば、あえて問う事はしない…一護がそう望むなら……



「下ろせっ!一人で歩けるっ!」



「黙れ……」


久しぶりに見た、顔を赤らめて眉間に皺を寄せる表情…心が和んで行く…


バスルームで包帯をほどきながら一護が呟く…



「ウルキオラ…ありがとな…」

「夕べずっと俺を霊圧で包んでいただろ…」


「お前が気にすることじゃない…」


「っだよ!俺はただ礼が言いたくて…」


「一緒に入るか…?」


「なっなっ何言ってんだよっ!?」


「冗談だ……」


「ばか野郎っ!!」

(たくっウルキオラも冗談とか言うのかっ!?)

ドアを閉めなが思うのだった…



他愛ない何時もと変わらぬ会話にほっとしていた…





シャワーの音を聞きながら一人考えるウルキオラ…


一護に何処まで語れるだろう……


交換条件でここに連れて来た事、現世での存在削除、今回の記憶操作の事……


そんな事今の一護が耐えられる訳がない…


俺に出来る事は何だ…

一護を護る為に…



偽る事………?



記憶が戻らない方が一護にとって良いのか…

全てを無くしたままの方が一護が傷付かずに済むのか…

はたしてそれを一護が望むのか……



ソファに深く座り天を仰いでいた…



ふと、バスルームに意識を遣る…



「遅いな……」





次の瞬間何かが割れる音がした……


「ガシャーン……」



荒々しくバスルームのドアを開ける…



「どうした…一護!?」



湯気で霞がかったバスルームの中で、シャワーに打たれ立ち尽くす一護の姿…

手の甲から血の滴が垂れている。

前面に有った鏡が一護の足元に粉々になって落ちていた……



「大丈夫かっ!?」



「くっくっくっ…」



「ったく…ムカつくんだよ…ガキは……」



「一護……?」



「軟弱で考えが甘くて…だからガキだって言っんだよ……」



「クソッ……」



「初めっから俺に任せてりゃぁ良かったんだ……」



「何を言ってる?!」



「くっくっ…」



不気味な笑い声をあげながら、ゆっくり振り返る……



その姿は余りにも妖艶で、艶かしくて…魅了された…

思わず喉がゴクリと鳴る……

「くっくっくっ俺は知ってるぜ……」



「誰だっ貴様!?」


「お前が俺をどうしたいのかを……」

「くっくっくっ……」





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