駄文長編
□闇の太陽《怖》
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大気が震える…
空間が軋む…
何かが来る……!
「うっ…!?」
身体を襲う大気の変化で、目覚めた一護…
次の瞬間呼吸も出来ない程、威圧する霊圧が一護を襲う。
琥珀色の瞳からポロポロ落ちる雫…
「何っ…?!」
確実に近づいていて来る霊圧に耐えながら、ベッドから飛び出し無意識に斬魄刀を探した!
「何処だっ!?」
脇腹に激しい痛み…包帯が紅く染まる。
「うっ…くぅっ!」
立っているのもやっとの状態で、扉の向こう側で動きを止めた霊圧に身構えた。
「バターンッ!!」
巨大な霊圧が、扉を蹴破って部屋に一歩足を踏み入れた瞬間、目の当たりにした霊圧に耐えきれず、一護身体は崩れ落ちた…
ツカツカと一護の方へ近付いて来ると、顎を捕まれ視線を絡めた。
「なんだぁ!?」
壁に凭れ口をパクパクさせ、瞳孔が開いたままの琥珀色の瞳から止めどなく流れ出す涙…
「お前、本当に黒崎一護かぁ!?」
目の前に立つ浅葱色の男が嘲笑う。
「ぁ……ぅ…っ」
ガタガタ震える一護の姿に苛立ち、拳が壁を貫いたっ!
「口も聞けねぇ程ビビってってんじゃねぇよっ!」
言葉を吐き捨てながら、片手で一護の首を吊し上げた。
「ぐっ…はぁっ!!」
気管を押し潰され、呼吸が出来ない苦しさから逃れようと必死で喉を掻きむしる!
(殺される……)
意識が遠退いて行く…
抵抗する手がダラリと落ちた瞬間、一護の身体をベッドに放り投げた。
「はーぁっ、はーぁ、はぁ、ゴボッ、ゴホッ!」
「覚えてねぇーのかぁ?!」
「俺の腕切り落としただーろがっ!!」
(俺が…腕を…?!)
ボヤける視界で浅葱色の男の腕に目をやる……
中身の無い左腕の袖は皺を作っていた…
「腑抜けたお前にゃ用はねぇっ!!」
「出て来いよっ!!」
「虚ーーっ!!」
「ちっ!!」
「どいつもこいつも馬鹿にしやがってっ!」
ベッドに沈む一護を押さえ付け睨む。
「てめぇの甘さにゃヘドが出んだよっ!」
「余計な事しやがって…!」
「死神に命永らえてもらって、生き恥晒せって事かぁ?!」
「くそっ……!」
「ぶっ壊してやるっ!」
「お前のプライドも性根も身体もっ!!」
「全てをなぁっ!!」
抵抗する力も術もない一護を簡単に組敷くと、顎を捕まれ唇に噛みついた。
意識が朦朧とする中、必死で首を振る…
(何で…!?)
琥珀色の瞳が必死で問いかける…
「お前を食って遣る!!」
「その前に天国魅せてやるぜ!!」
「たっぷりとなぁ!」
「やめっ!!」
言葉より先に首筋を捕まれ、唇を押し割り口腔に舌を捩じ込むこんだ。
あっという間に一護の舌を捉え、絡み付いて吸い上げる…
思考が止まり、身体が向上して理性が喪われて逝く…
(嫌だ…止めろ…)
必死で理性が拒む…
抵抗する程、激しく絡み付く舌に翻弄される…
「ん…ぅっ…ん」
鼻腔から漏れた甘い声に耳を疑った。
男の動きが止まりニヤリと笑う…
「お前もう味を知ってんだな?!」
「ふっウルキオラか…」
「道理でここだけ結界が頑丈な訳だなぁ!」
「まぁ俺には通用しねぇけどなぁ!!」
「ウルキオラよりもいい思いさせてやるよっ!」
乱れた夜着を引き裂き首筋に噛み付く様に吸い付いた…
次の瞬間ドスンッと音と共に殺気だった霊圧を感じた。
浅葱色の男が振り返るよりも早く、壁に叩き付けた。
「グリムジョーここで何をしている…」
「てめぇっ!何しやがるっ!」
口角に滲む血を拭いながらグリムジョーが叫ぶ!
ウルキオラは一護に視線を向けると、床に落ちていたシーツを拾い上げ、一護を覆った。
「ちっ…… 」
「俺は昨日のケリを付けに来ただけだっ!」
「それはお前の私情だ…」
「失せろ…」
霊圧を指先に集中させる…
「ちっ!今ここでお前とやり合うつもりはねぇよっ!」
ベッドで震える一護の顔を覗き込む…
「じゃあな、黒崎!せいぜい可愛がってもらえよ!」
「次は必ず戴くぜ…」
耳元で小さく囁かれた言葉に嫌悪した…
ウルキオラに視線を走らせ皮肉染みた笑みを見せ、グリムジョーは響転で消えた……
恐怖、羞恥、屈辱全てが一護を襲った。
存在すら消してしまいたい程、虚しかった…
ウルキオラは何も語らず、ほどけた包帯を直そうと手にする…
「触…るな……」
一護の声に手も止めず手当てを続ける…
「や…めろっ!」
振り払おうとした手を掴み、琥珀色の瞳を見つめた。
「俺は何もしない…」
琥珀色の瞳から溢れ出す雫…
掴んだ手の力が抜けた…
…