Short

□消える温もりを
1ページ/2ページ





この世界では、何より『強さ』が必要とされ、『金』を欲する。

俺はひたすら『強さ』を求めていた。


他者を信じず、
ただ生きるか死ぬか。

そんな日々だけが続く。



そんな世界に、ただ一人

変わり者がいた。




裏稼業界で、女は殆ど居ない。
ラニの様な奴もいるが、普段は雑魚扱いされる。力では圧倒的に女が不利だからだ。

でもそいつは、女だからというのに捕われず、確実な名声を手に入れていた。


用心棒じゃない。


殺し屋だった。




トレノで、噂を聞いて初めて会った時。

一番に目に映った、血に濡れて染まった様な艶やかな赤毛と瞳。

全身に纏う、黒い服。


そして微かに匂う、


血の、匂い。


印象的な、赤と黒。




言葉を交わす事は無かった。

お互いに目も、合わせなかった。



ただ、少しだけ興味が沸いた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ