ー追憶ー
□重なる影
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私は、春樹をハリルと重ねて見ていたのかもしれない。
いや、確実に見ていた。
春樹はそのことを不快に思ってたかもしれない。
しかし彼女と旅を続けていくうちに、ますますハリルと重ねてしまった。
ハリルがいなくなってからすぐに春樹も元の世界に去ってしまった。
私はせめてもの思いでハリルのピンクのリボンを春樹の手に渡した。
春樹は本当にハリルに似ている。
姿形は、もちろんのこと、立ち振る舞いまでそっくりだった。
ハリルがいなくなった今、春樹だけは失いたくなかった。