ー龍達の宴ー

□ー過去・そして迫り来る影ー
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「確か…春樹も和純の先祖になるんだな」
「そうだね。瑠宇」

雅也がこう言った。

「あのハリルさんは、何故紅龍にならはったんですか?」

ハリルはこう答えた。

「それは、私が死んだ日、つまりデーモンをジュニー達が倒した日にさかのぼるわ」

当時、ハリルはジュニーをかばって死んだ。

その20年後までは、ハリルは天国にいた。

しかし、リリアンが天国に旅立ったあの日、リリアンとハリルが出会った。

そして彼は、こう言った。

「ハリルさん。どうして俺はフェニックスシンドロームになったの?紅龍とは全く関係ないはずだろ?」

つまり、当時トニーズキングダムで流行っていた、フェニックスシンドロームが、クリスタルキングダムに浸透したことだ。

表面上では、平和だったが悪い予感がすると、リリアンが言ったのだ。

ハリルは始め、偶然だろうと対して大事に思わなかったらしい。


しかし、自分の隠し子がネオフェニックスシンドロームで、それが原因で死んだと分かった時、暗黒戦争の予兆だといち早く気付いたのだ。

そして、俊也達の目の前に姿を現す際に、リリアンから魂を譲りうけて、君臨したのだ。


その後、天空の城に行き、正式にハリルは、紅龍となったわけである。

「じゃあ、ハリルが二度目の生命を譲り受けたのがリリアンくんのお陰と言う訳だな」

ジュニーがそう言うと、

「リリアンは、あなたが私を愛してたって話を知ってたらしいのよ。それと、彼は残された家族のためを思って私に…」

ハリルはそう答えた。

「そうか……」

そう言うと、ジュニーはさらにこう言った。

「リリアンくんとは、生前すごく仲が良かったんだよ」
「どうしてですか?」

すると、ジュニーはハリルに一つの写真を差し出すよう命じた。

「リリアンくんの父親が、私のスクール時代の先輩でね、彼にはよくお世話になったんだよ」
「じゃあ、ジュニーさんの家庭とリリアンの家庭は家族同然に付き合ってたんですか?」

和純がそう聞くと、ジュニーは頷いた。

「そうだな…。私の父親も私の先輩の父親と仲が、良かったしな。結構長い付き合いだったな」
「でも今ケイス家って…いないんですよね?」
「いるよ。ほら私のとなりに」

ジュニーは秋美を差した。

「え?」
「リリアンは私の子なんですよ。本当に旦那に似て、悪戯が生き甲斐な人間だったの」
「じゃあ、リリアンくんは、青龍の血を受け継いでいたんですね秋さん」
「えぇ。私も旦那に言われるまで気付きませんでしたが…。確かに私の先祖はみな青龍一族ですね」
「じゃあ、秋美クリスと言う名前は…」

雅也はそう言いかける前に、秋美はこう答えた。

「シスター名です。私は天涯孤独の身だったので、仏聖寺の修道女の方に名前を付けてもらいました」
「じゃあもともとは…」
「佐伯秋美です」

すると和純が、こう言った。

「僕も佐伯って言います。お母さんと関係ありますか?」
「直接はないわ。確か彼女が養子に来て『遼』と名付けたわ。それに、彼女もデーモン一族の末裔だったの…」
「………」

和純が黙り込むと、秋美はこう言った。

「でも、遼は本当に私達をよくしてくれたわ。私達老夫婦の本当の息子として、いたの」
「息子?」
「当時、彼女は性別を偽って、1000年前からこの時代に飛ばされたの。しかも当時3才だった棗王子もね…」
「それって僕のお父さんですよね?」
「そうよ。棗王子は、門谷家の養子として預けられたの」
「じゃあ僕の両親は時代追放されるほど、禁忌を犯してしまったんですか?」

和純がそう言うと、秋美はこう言った。

「当時、王族と臣下で恋愛禁止がされてたの。でも、2人はお互いずっとそばにいたし想い合っていた」
「それで当時の王様に見つかって、追放されたのですか?」
「えぇ。確かその王様も自ら時空移動したわ」
「俊也じいちゃんですか?」
「いえ、春代さんだよ」
「おばあちゃんが、女王だったの?」
「そうよ。確か春代さんがジュニーW世で、息子の漣がジュニーX世…」
「じゃあ、本来はレバインさんがジュニーY世になるはずだったんですね?」
「えぇ。しかし漣はレバインを連れていまから200年前の暗黒戦争の時代まで連れていって…遼とともにレバインをかばったの。遼はかすり傷程度で済んだけど、漣は再起不能になったの…」
「じゃあ、レバインさんは…」
「あの子も捨て子だったんだ」

ジュニーがそう言うと瑠宇は驚いた。

「瑠宇、レバインが孤児だと知らなかったのか?」
「一度も聞かされたことはない」
「そうか…。それと瑠宇、お前はな…」
「島野弥生とネウロ王の娘。だろ?」
「知ってたのか?」

ジュニー達四龍は驚いて聞いた。

「あぁ、うすうすは気付いていたんだ。だが、どうも両親がいる環境を知らないからな……」
「実感沸かないだろうな」
「まあな。それと、和純」
「…う…うん」

和純は、しどろもどろに答えると瑠宇はこう言った。

「黒龍君臨地球最期の日を防ぐためには、お前の力が必要なんだ」
「でも……」
「迷ってる暇はないんだ。もちろん雅也にもしてもらわなければならないことがある」
「なんや?」

瑠宇は、こう言った。

「もう1人のガーディアンズメンバーを、呼び出してくれ」
「しかし、あの子はデーモンキャッスルの子や。俺らに力を貸すとは思わんけど…」

すると瑠宇はにやりと笑った。

「お前の泣き通しで、その子を無理矢理にでも連れてこい。銀龍を呼び出すには、かなり重要な鍵を握るな…」

すると雅也は、

「分かった。任せとき。でも龍達の宴はどないするんや?」

そう言った。ジュニーはこう答えた。

「レバインが、指揮を取る。そして、黒龍戦の前大量の死霊が放出するから雅也くんは、他の能力者達を配置の指揮をしてほしい」

ジュニーは、雅也に紙を渡した。

「まず、ブレムスエリア。ここには武装系の死霊達がくる。だからなるべく『士』や『義』を印に持つ戦士系を集めてほしい」

雅也はメモを取った。

「そして、城下町エリアは、大型モンスターが普通に出る。戦士系も有効だが、中には魔法使い系死霊もいるから、魔導士の人々を集めてほしい」

すると、ハルがこう言った。

「ポカポカマウンテンとかはでないの?ジュニー」
「いや、黒龍の狙いは、クリスタルキングダムの殲滅だ。つまり、いかに効率よく人を殺めるかを考えてくる」
「なるほど」
「それと、クリスタルキャッスルだな…。あそこは、衛の指揮を待とうか…」
「でも軍人なんているんですか?」

雅也がそう聞くと、和純がこう言った。

「確かにいます。メイドの女性の中にも能力者の印を持つ人はいました。後、オカルト研究同好会の方にも若干能力者はいます」
「オカルト研究同好会?」

ジュニーがそう言うと、雅也が説明した。

「なるほど、まだやってたんだオカルト研究同好会」
「確か、ジュニー達もオカルト研究同好会に遊びに来てたわね」
「そうそう、シノとイナー先輩…」
「シノ?イナー先輩?」
「シノンピーのこと。私が君主をしてたときの直属の臣下。そしてイナー先輩はリリアンの父親。つまり秋美さんの旦那さん」
「交友録が広かったんですね」

和純がそう言うとジュニーは否定した。

「いや他の人間とはあまり親しくなかったさ」

すると雅也はこう言った。

「トニーズキングダムは…」
「ハル王に指示をハルからさせている」
「なるほど…しかし黒龍について何も書かれてないですよ」

するとジュニーは、和純に紙を渡した。

「和純、お前は唯一『聖』の印を持つ人間だ」
「はい…」
「春樹がデーモンに倒せた理由は、レベルも関係するが『印』も関係してる。どうやら、闇は聖に弱いらしい」

すると、四龍の館に俊也が入ってきた。

「失礼させてもらう。その話だが、例え闇が聖に弱かろうと、黒龍は倒せん」

すると、ジュニーはこう言った。

「俊也。お前なら分かるよな?そう言った意味を」
「当然だ。黒龍つまりデーモンは、暗黒魔法だけでなく青魔法も極めている。そして、残忍かつ非道な人間だ。手加減なんかされないし、今のメンバーで敵うやつは誰もいない」

雅也はこう言った。

「俊也さんは…」
「俺は、黒龍の末裔だ。そして2度黒龍になった過去がある」

すると、背後にいたレバインは短剣を俊也に刺そうとしたのだ。

そこにいた全員が固まった。

しかし俊也は冷静にこう言い放った。

「甘いなレバイン。後ろにいるのは分かってるぞ」
「………」
「安心しろ。俺は別に世界を滅ぼす気はさらさらない」
「なら何故黒龍は蘇った?ダークナイト」

レバインはそう言うと、さらにナイフを近付けた。

「執念だよ。デーモンは、ジュニー王族のみならず他の民族からもさげずまれて、子孫はみんな幽閉されてしまったからな。それが怒りとなって黒龍が形成された」
「ふざけるな!!その怒りで何度もこの天空の世界も滅ぼされたか…」

すると俊也は、レバインの方を向いてこう言った。

「嫉妬心が過ぎればただの憎しみと化すんだよ。愛する人を奪われた屈辱。そしてその奪った人間への復讐。それが世界規模だったわけだ」
「………」

ジュニーは黙っていた。

「じじい。あんたがデーモンに譲れば、こんな惨事にならずに済んだんだよ」

するとハリルは反論した。

「確かにそうかもしれない。でも、ジュニーは平和を守るために、デーモンを倒したのよ?」
「それが、デーモンの復讐心へと変えさせたんだよ。この世界を滅ぼさぬ限り奴の野望は消えない」
「野望って?」

雅也がそう言うと、俊也はこう言った。

「世界を闇で統一して、デーモンキングダムを作るんだとさ。これはずっと奴の思いがある。つまり、奴も死霊なのさ」
「じゃあ成仏すれば…」
「無駄だ。悪魔に心を売ってしまったデーモンは、二度と天国へは行けないからな」
「だから漂ってるわけだな…」

するとレバインはこう言った。

「そうさせた原因を詳しく言うんだ。ダークナイト」
「それは…俺にも分からない。ただ、それがとてつもなく恐ろしいことだと感じる」
「確かダークナイトも闇系だな?」

レバインはそう言うと、ナイフを振り上げた。

俊也が止める前に、和純がナイフを弾き飛ばした。

「それは昔の話です。じいちゃんはいま、ダークナイトではありません。それに僕達には何の危害も加えませんと言ってますから…」

するとレバインはこう言った。

「ほぅ、ただし悪魔に心を売れば印にはは現れなくとも、闇系の人間に違いない」
「だからと言って、ナイフで傷付けるのは良くないです。それに、じいちゃんは短剣1つすら持っていませんから」

すると、レバインは俊也の体を見てからこう言った。

「なるほど、ダークナイトに戦意はなかったのか、じゃあ何故この世界に来た?」
「漣がいた気がしたんだよ」
「………漣?」

すると、ジュニーはこう言った。

「レバインの父親の名前だ。そして、俊也はお前の祖父にあたる」
「じゃあ私にも、あの忌まわしき血が流れてるというのか?」

レバインは、あまりの衝撃発言に両手で顔を覆った。

「そう。だけどお前は、純粋なトニー王族だ。そして和純はジュニー王族だ。血筋など関係ない」
「…なるほど…」
「それに、和純と連携を組んでほしい」
「…それは、できん」
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