ー龍達の宴ー

□―再会・そしてクリスタルの謎―
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和純は玲奈に連れられて、デーモンキャッスルの中に入った。

雅也は遅れて2人が気付かないように入った。

デーモンキャッスルの中はロウソクだけが唯一の灯だったので薄暗かった。

そして玲奈はメインストリートで立ち止まった。

「あなた確か佐伯と名乗ったわね」

玲奈はそう言うと和純はこう言った。

「確かに言った。でもまだあなたの名前を聞いていないよ」
「リトルミスティレディよ。さっきも言ったでしょ」
「違うよ。本名を教えてほしいの」
「あなたに教える義務はないわ。それよりあなたは、女王と何の関係があるの?」
「親子関係だよ。あなたは?」
「教えてほしいの?ならば私に勝ってからにしなさい」

すると、空気がガラリと変わった。

そして玲奈は力を溜めた。

和純は身構えた。

その瞬間だった玲奈は瞬間移動して、和純の背後を狙って暗黒玉を放った。

和純は自分のクリスタルスピアで暗黒玉を粉砕した。

「なるほど、あなた能力者ね?」
「はい…。でも戦う必要なんてないと思うけど」
「能力者なら尚更倒さなきゃいけないわ」

玲奈はそう言うと、ブラックソードを手にして、和純に刃を向けた。

「あなた眼鏡掛けてるけど、どうしてかしら?」
「昔のトラウマ…」

すると玲奈は素早く和純の眼鏡を奪った。

和純は目を逸らした。

「素顔が恥ずかしいの?まさかやましいことがあるの?」
「違う。素顔の自分に慣れてないだけ…」
「顔、見せなかったら斬り殺すわよ」
「やです…。見せたくない」

玲奈はそれを聞くと、和純目掛けて剣を振り落とした。

すると、間一髪で雅也がその剣を自分の剣で受け止めた。

「待って!玲奈ちゃん、お願いやから眼鏡返してあげて?」

すると玲奈は剣を降ろした。突然現われた雅也を見てびっくりしてしまった。

「ま…雅くん!?どうしてここに?」

すると和純が玲奈にこう言った。

「確か、雅也が言ってた玲奈ちゃんって…」
「私よ。私が佐伯玲奈」
「お互い素顔見せてないからさ…」
「…分かったわ。フードを外せばいいのね」

2人は意を決して素顔を見せた。

すると雅也は目を見開いた。

「あんたら同じピアスしてる!!しかもめちゃめちゃそっくり!!」

2人はお互いの耳元を見た。

「本当だ…」
「でもなんで?」

すると雅也が説明した。

「おたくらは、双子なんよ実は」
「え〜!!」

玲奈は驚きのあまり声に出してしまった。

「初めまして。玲奈」
「ごめんなさい。私お兄さんに斬り殺すわよって言っちゃった…」
「ううん、気にしないで。それより無事で良かった」
「私は大丈夫よ。でもお母さんがこのごろ体調不良なの。お願いだから雅くんと一緒に行ってあげて?」
「玲奈はいかないの?」
「うん。私はこの城の用心棒だから、動いちゃだめなの」
「分かった。ところでお母さんはどこにいるの?」
「3階の寝室よ」
「ありがとう」

和純はそう言うと雅也と3階に向かった。

そして、寝室の前まで来た。

「いよいよ親子再会やね〜」
「そんなほのぼのとした感じじゃないんだけど…」
「何言ってるん?16年振りの再会や〜ん」
「雅也は呑気だね」
「和純、俺はここで待ってるからゆっくり話してきいや」
「玲奈の元に行けばいいよ」
「ほんまか?じゃあ2階の応接間で待ってるわな〜」
「分かった」

和純がそう言うと雅也は2階に降りていってしまった。

和純は、ドアをノックした。すると遼の声がした。

「…はい」
「初めまして」
「あの玲奈がいつも意識交信してる雅也くん?」
「いえ、僕は雅也じゃないです」
「…分かった。とにかく中に入りなさい」

和純は、遼の寝室に入った。

遼は、いかにもしんどそうで、やつれていた。

しかしあの頃と同じ綺麗な瞳をしていて、玲奈と同じ黒装束で身を包んでいた。

そして髪の毛は綺麗な長い黒髪だった。

(僕のお母さんって美人…)

和純はそう思った。すると遼がこう言った。

「あなた闇属性の人ね」
「はい…」
「名前は?」
「佐伯…佐伯和純です。あなたの息子です」

遼は目を見開いた。そして彼女は衛にあげたピアスを和純がしていることに気付いた。

そして椅子に腰掛けて、こう言った。

「…和純なのね?衛の子…」
「はい…。あなたとは16年ぶりですね」
「目が悪いの?」
「いえ…」
「まさか、何かあった?」

和純はこれまでの過去を遼に事細かく説明した。

すると遼は和純を抱き締めてこう言った。

「ごめんなさい。私がデーモン一族の血を引いてしまったばかりに…」
「でも、そんなの関係ないって雅也と瑠宇が言ってくれました?」
「瑠宇?」
「ドラゴン使いの銀髪が綺麗な少女です。僕はあの時、彼女と聖龍に助けられました」
「良かった…」

すると、和純は眼鏡を外した。

「目…」
「右目のキズはリンチされたときに出来た後遺症です…」
「……そう。でもどうして私に会いに来たの?」

遼はそう言うと、和純は深刻な顔をしてこう言った。

「それはあなたの見せた悪夢のわけを知りたいからです。僕だけでなく雅也もレバインさんも見たんです」
「あれは…近い将来起こることなの。私は黒龍を守護神にしているが、実質封印している。だが…」

遼は頭を抱えた。

「いつか黒龍は封印を破って、和純達のいるクリスタルキングダムを破滅へと向かわせる」
「ずっと封印はできないんですか?」
「1000年も封印したが…。その間に黒龍は目覚めてしまった。それでも封印したため力が蓄積されてしまった…」
「封印すると力が蓄積される?」
「あぁ。だから私がデーモン一族でなかったなら、お前の世界は間違なくなくなっていた…」
「だから幼い僕を置いていったんですね」
「許されないと分かっていた。けど…母さんが…」
「ミスティが……」
「罠だと知っていた。でも、もう私は後戻りできない」

すると、玲奈がやってきてこう言った。

「女王は、完全に闇に染まりつつあるの。だから……黒龍の覚醒を早めてしまう…」
「なんだって??玲奈は影響ないの?」

和純は声を荒げてこう言った。すると玲奈はこう言った。

「私は微量ながら聖属性を持ってるわ。お兄さんとは反対の印だけど…」
「……お母さんは完全なる闇属性なんだね」
「……ミスティが女王を闇属性にしたの。最悪なことにそのミスティは、死んでしまったわ」
「元にもどれないの?」
「戻れるわ。でも強大な闇の力がなければすぐにでも、黒龍が目覚めてしまう」
「闇には闇をか…」

すると、遼はこう言った。

「だから衛にはもう会わないって決めたんだ…。条件つきで」
「条件?」
「和純がここに来るまでを会わない約束」
「ならお父さんに会いましょうよ。条件を満たしたんだし…」

和純はそう言うと、遼は首を横に振った。

「無理だ。私がこの世界からいなくなったら誰が黒龍を管理する?玲奈は闇魔法使いといっても、まだレベル30しかない…」
「30!?」
「そうよ。女王はレベル75なんだから…」
「俊也おじいさんも確かレベル75…」
「彼は、暗黒魔法は使わない。それに春代さんがいるからな」
「何故春代ばあちゃんを知ってるんですか?」
「昔世話になったからね」

すると、雅也がやってきてこう言った。

「そろそろおいとましな衛さん心配するんとちゃう?」

すると遼は、雅也にこう言った。

「君が雅也だね」
「そやで、遼さん」
「……幸次さんそっくりだ」
「まあな。玲奈ちゃんは、ここにおらなあかんのやろ?」
「うん。ごめんね雅くん」
「…でもここの城に何か起こったらすぐに交信してな。飛んで駆け付けたるやさかい」
「ありがとう。じゃあね雅くん、お兄さん」
「うん」

すると遼はこう言った。

「衛は元気か?」

和純はこう言った。

「うん。でもお母さんのこと心配してたよ。無理してないかって」
「そっかぁ。ありがとう」

遼は初めて和純に笑顔を見せた。

そして和純と雅也は、デーモンキャッスルを出て、クリスタルキャッスル地下室に帰った。

「おかえり!!」

地下室には瑠宇がいた。

「ドラゴン達は?」

すると瑠宇は衝撃的な発言をした。

「200年前の暗黒戦争で…殲滅した。生き残っていたのは銀龍と白龍だけだった」
「むごい…」

すると瑠宇は雅也にこう言った。

「玲奈には会えたのか?」
「会えたで。めちゃめちゃ別嬪さんやったわ〜」
「良かったな。で…和純。お前の母親には会えたのか」
「会えたよ。すごく綺麗な人だった」
「そっかぁ。お前もすごく綺麗だ」

和純は突然そう言われて顔を赤くした。

「和純?」
「ごめんね。昔のこと思い出しちゃった」
「初めて会ったときか?」
「うん。その時も瑠宇に綺麗だと言われた」
「なるほどなぁ〜。あんたら仲ええもんな」

雅也は横から茶茶を入れて来た。

すると瑠宇は負けず劣らずこう言い放った。

「雅也だって玲奈と交信しまくってるんだろ?愛とか囁くのか?」

すると雅也は顔を赤らめた。

和純は意外そうに彼を見た。

「わ…。そんなんできんわ。あの子デーモンキャッスルの王女にして用心棒やで?そんなんしたら遼さんに怒られるわ〜」
「意外と可愛いんだなお前」

瑠宇は意地悪そうな目つきで笑いながら雅也に言った。

すると雅也は瑠宇にこう言った。

「瑠宇ちゃんは好きな人いるんか?」
「いるぞ?ここに」
「まさか俺?可愛いなぁ。でも、断るでぇ〜」
「馬鹿だな雅也は。お前なわけないだろ?私が好きなのは和純だ」

和純は瑠宇の発言にびっくりしてしまった。

「なななななんで僕なの?レバインさんじゃないの?」
「レバインはタダの兄貴とかしか思ってない」
「……僕……」
「他に好きな人とかいるんか?和純」
「恋とかよく分からないから…」


和純はそう言うと、両手で顔を覆った。

「シャイやなぁ。めっちゃ可愛いわぁ和純」
「気持ち悪いぞ。男の子相手に可愛いは」
「それに比べて瑠宇ちゃんはかわいないわ〜生意気やし」

すると瑠宇は、笑顔でこう言った。

だが、目は明らかに怒っている。

「なら、その口二度と聞けないようにしてやろうか?雅也」
「勘弁勘弁〜」
「可愛くないはだめだろ?お前なんか玲奈が惚れるかよ」
「玲奈ちゃんは、俺んこと雅くんって言ってくれるねんで?」
「仕方なく言ってるんじゃないか?本当頭ん中花咲き誇ってるな雅也〜」
「そうや満開やで。花満開」

雅也は両手で花の形を作って瑠宇に見せた。

「本当、和純の人選ミスだよ。こんな奴がレッドドラゴンガーディアンズなんて信じられねぇ」
「それを言うなら瑠宇ちゃんもやろ。何にも武器持ってないんやし〜」

すると瑠宇は短剣を雅也の首元に向けた。

「ふざけるのもいい加減にしろ?」
「それはこっちのセリフや。何なら試しに戦うか?」

2人は臨戦状態になろうとした時、和純は低いドスの聞いた声でこう言った。

「仲間割れ?いまはケンカしてる場合じゃねぇよ。ケンカするならよそでやってくんない?」
「和純の闇属性出た〜!!」

瑠宇は剣を下ろした。

「なんだか変だぞ?和純」

すると和純は闇属性から戻ってこう言った。

「時々人格が変わってしまうんだ」
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