ー宿命ー

□モンスター討伐編・感情のない少女
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「分かりました」そして、操のモンスター討伐としての生活が始まった。彼女は、最年少のスナイパーとして名を上げるようになった。そして、家にいつしか依頼人が来るようになった。「003、今日はブレムス付近のモンスターを倒してくれ」「報酬は?おじさん」「1万ペルーだ」すると、操は愛用の銃を持ってブレムスに向かった。するとモンスターがやってきた。そして、操に襲いかかった。操は避け切れずに傷を負った。しかし、それでも銃を離すことはなくモンスターを見事に殺した。操は家に帰った。「003番、ただいまブレムス付近のモンスターを倒してきました」「ご苦労様、約束の報酬だ」そう言うと、中年の男は1万ペルーを差し出した。そして、去っていった。操はすぐに傷の手当てをした。「しかし、今回は派手にやられたな003」「はい」「気を付けろよ?ただでさえ危険な仕事だから」「すみません」「分かったなら、銃トレしろよ」「はい。002」操はそう言うと、地下の部屋で銃の的当てをした。いつも彼女は10発中8発以上が、真ん中の的に命中する。そして、今日もいつも通りだった。彼女は無表情で、地下からリビングに上がった。そして、自分の部屋に行って、ベッドに突っ伏した。(モンスター討伐をしている時だけ、嫌な過去を忘れられる…)すると、002が操を呼んだ。「003」「はい」「まだ寝るな」「すみません」「今日は寝ずの番をやれ」「はい」そう、次第に001と002は彼女に激務をさせるようになった。操はそれでも、何一つ文句も言わずにやってきた。すべては嫌な過去を忘れるため。感情を無にし続けるため。しかし、幼い体で激務をし続けたのが、いけなかったのか、39℃の高熱を出してしまった。しかし、それでも001と002は彼女を休ませてはくれなかった。操は、仕方なくモンスター討伐に出かけた。しかし、視界がかすむのだ。そして、モンスターにより瀕死の傷を負ってしまった。それでも無表情で彼女は帰った。そして、いつも通りに治療をした。(このまま死にたい…。もう生きていたくない…)すると、ある人の顔が思い浮かんだ。そう、孤児院にいた時唯一仲が良かった男の子の顔である。(そういえば、あいつの名前聞けてなかったな…)すると、001がやってきた。「001さん何のようでしょうか?」「モンスター討伐の依頼が来た。場所は城下町だ。すぐに向かうように」001がそう言うと、操は重たい体を引きずって、クリスタル城下町に行った。そして、いつものようにモンスターを退治して淡々と帰っていった。操はすぐに自分の部屋に行った。すると、002がやってきた。「003、モンスター討伐だ。場所はブレムス。休んでないですぐに行け」「はい」操は、クリスタルブレムスに向かった。すると、ゴブリンが彼女に襲いかかった。操はすぐに銃を放った。そして、ゴブリンは消えてなくなった。すぐに帰ろうとしたが、モンスターがまたやってきた。今度は相当巨大なモンスターだ。操は銃を放った。しかし、通用していないようだ。(馬鹿な!!)すると、モンスターは操に襲いかかった。しかし、何者かによって彼女は助かった。気がついた時はモンスターはいなかった。操は、その人を見る前に帰ってしまった。その人こそが、孤児院にいた操と仲が良かった男の子であり、後の彼女のパートナーとなる中川透であった。「花嶋…あいつ男だったのか?」完全に彼は勘違いをしていた。一方操は、1人ベッドで苦しんでいた。(このままじゃあ、本当に死んでしまう。こんなことなら、貰われるんじゃなかった)すると、誰かがやってきた。「大丈夫?」「あっ由希先生」「久し振りやね、操ちゃん。にしても、大変な所にもらわれたんやな」「もらわれるのに、わがまま言っちゃいけないもん」一方透は淳希にこう言った。「今日ね、孤児院にいた花嶋操に会ったよ」「操?」「そうだよ」「で何か話した?」「ううん。何も」「そうか。実はなあいつ、モンスター討伐やってるらしいんだ」「モンスター討伐?」「住宅に侵入してくるモンスターを退治する仕事」「ふうん」「興味あるのか?」すると、透は頷いた。「でも、透は6才だし危険な仕事だしな…」「花嶋だって、6才だよ?」「そうか…。なら、頼んでみるか」「わーい」透はそう言うと、手放しで喜んだ。(これで、花嶋に会える!!)透はそう思ったのに違いない。一方、由希は操の看病をしていた。すると001がやってきた。「お客さーん。勝手なことしないでくださいよ」「何が勝手なん?こんないたいげな女の子に、危険な仕事させて」「嫌なら、出て行ってもらっても一行に構わないぞ」すると、操はこう言った。「嫌じゃありません。001」「でも、これ以上激務をしたら本当に死んでしまうで!」「私は、死んでもかまわないの」「あかんて。悲しむ人がおる」「いないよ。ばあちゃんも私の存在知らないし…」「少なくとも、わいは悲しいわ」「先生…」「それに、あの子も悲しむと思うんよ」「あの子?」「操ちゃんによくしてくれた男の子」「あいつ?」「そう」「…」「だから、もうここにはさようならし」すると、操はこう言った。「私は、モンスター討伐をすることで存在価値を認めてもらえているんだ。それがなくなったら、死んだも同然や」「どうしても、やめへんつもりなんやな」「はい」操はそう言うと、冷酷な眼を由希に向けた。(まだ表情が変わらんのやな…)すると、銃声がなった。そして、誰かがやってきた。「003はいるか?」「はい」「撃たれた…」すると、002は倒れた。操はすぐに銃を持った。「お前が003か」見たことがない人物だった。いや、1回だけ見たことがある。「あいつのおじさん?」「よく覚えていたみたいだな。 お前、俺の兄貴殺しただろ?」「あなたのお兄さんだったの?」「そうだよ。あの子の父親にあたる」そう言うと、操は顔を歪ませた。「だから、その敵を取りに来た」すると、由希がこう言った。「淳希はん、誤解やて。この子がそんなこと出来る筈ないやろ!?」「いや、彼女は大人顔負けの一流のスナイパーだ。出来ないわけがない」すると、操はショックで気絶してしまった。後に、透にこのことを告白するまで、忘れてしまったのだ。淳希は、001を切ってしまった。「操ちゃんは、女の子なんやで?」「それがどうしたんです。由希さん」「命だけは助けてあげて?」「出来ないです」淳希はそう言うと、操の首に剣を向けた。「今のうちに殺した方が楽に死なせることができる」次の瞬間だった。操は気絶してはいたが、無意識のうちに銃を握って、淳希を撃った。致命傷には至らないで済んだが、あまりの速さに淳希は驚いた。「こいつ…本物だ」由希はこう言った。「多分、この仕事もなんかしらの事情があってしてるんよ。ところで透君元気にしとる?」「はい。今度、透もモンスター討伐に入れようと思うんです」「あの子を?」「はい、透が入りたいって言っていましたから」「孤児院では、そんなこと言ってなかったのにな」「えぇ、これから平和を乱す奴はどんどん増えてきます。だから、透も参加させたいんです」「分かったわ。まあ取り敢えず、今日は帰り」「はい」淳希はそう言うと、帰っていった。操は由希の服の袖を掴んだ。「どしたん?」「私、もうここにいる意味ないよね」「そやね。孤児院戻る?」「それだけは嫌」「そやったな。ごめんな。じゃあ、淳希の家に行くか?」「本当?あいつにも会えるか?」「うん」すると由希は淳希に電話をかけた。「もしもし、由希やけど」「はい」「あんな、操ちゃん預かってくれんか?」「あの子ですか?」「嫌なん?」「でも、俺には透もいますし…」「でもな、あの子家族失ってしもたんよ」「分かりました。責任を持って、預かります」淳希は、電話を切ると操の元に向かった。淳希は操にこう言った。「改めて聞くけど、お前名前は?」「003です」「違う、本名が聞きたい」「花嶋操…」「じゃあ、行こうか」淳希はそう言うと、操の手をひいて家に向かった。すると、透が家の前に立っていた。「おかえりなさい」「ただいま。今日から新しい家族を連れてきた」すると、操と透の眼が合った。「花嶋!?」「そうだ」「君、男の子だったの」すると、操は無表情のまま銃を彼に放った。「いきなり何するの?」「お前が男だと言ったからだ。お前女の子みたいな顔してるな」「…随分失礼だね」「おあいこさまだ」すると、淳希はこう言った。「この子の名前は『操』だ。知ってるよな」「うん」「これから、操って呼ぶんだぞ」「はい」すると、3人は家の中に入った。すると、操が倒れた。透はすかさず彼女に手を差し延べた。しかし操は、手を払った。「助けなんか借りたくない」すると、透はこう言った。「違うよ。すごくしんどそうだったから…」「私なら大丈夫だ」しかし、彼女はその場で倒れた。透は彼女のおでこに触れた。「おじさん、操のおでこすごく熱い…」「分かった。ベッドに運ぼう」淳希はそう言うと、操を運んで、透の部屋に行った。そして、ベッドに横たわらせた。「透、氷枕作れるな?」「はい」すると、透は氷枕に、沢山の氷と水を流し込んで、栓を閉めた。そして、彼は自分の部屋に運んだ。透は操の頭を氷枕を乗せた。「操、大丈夫かなぁ…」「分からないな。でもこの傷が激務を物語っている」「激務?」「要するにすごくきついお仕事なんだよ。俺は、春代の所に行ってくるから、ちゃんと看といてくれよ」「分かった」透はそう言うと、淳希はクリスタルキャッスルに行ってしまった。その間、透はこまめに氷枕を換え続けた。すると、操が目を覚ました。「お前…」「起きたみたいだね」「名前…」「透だよ。中川透。透き通るの透」「やっぱり女の子だろ?」「違う…。でもさっき操のおでこを触ったら、すごく熱かったよ。何度あったの?」「39℃」「そんなんでモンスターを退治してたの…」「それがどうした?」「操は、やめたくなかった?」「全然。モンスター討伐が唯一私の存在価値を認めてくれる方法だから…」「難しくてよく分からなかったけど、相当無理をしてたんだね?」「無理?それは無理をしていたというのか」「当たり前だよ。そんな体でよくモンスターを退治しようと思ったね。僕がいなきゃ、操は死んでいたよ?」「自惚れるな。私がもし、死んでしまっても世界 は何1つ変わらない」すると、透は操の手を握った。そして、こう言った。「そんな悲しいこと言わないで」「これは、悲しいことか?」「そうだよ。どうしてそんな当たり前のことが分からないの?」「私には、感情がない。悲しいも痛いも辛いも嬉しいもない」すると、透はこう言った。「なら、僕が感情を教えるから」「お前に何が出来ると言うのだ?」「何も出来ないかもしれない。でも、僕は少なくとも君と生きていきたい」「私は真っ平だ」「操…」すると、透は涙を流した。「何が悲しい?」「君の瞳は、いつも曇ったままだよ。いつになったら輝きを取り戻すの?」「輝きなんて取り戻さない…」「僕が君の光になるから!君の笑顔が見たいから」すると、操は透の手を離してこう言った。「笑顔なんてならない」すると、操は眠ってしまった。透は自分の無力に涙を流した。(由希先生…僕でも無理だよ)すると、淳希が帰ってきた。そして、彼は透の部屋に入った。「透…」「おじさん」「泣いてたのか」「ううん」「淋しかった」「違うよ。淋しいなんて思わない」「じゃあどうしてそんな悲しい顔をするんだ」「操が私が死んでも世界は何1つ変わらないって言ってた」「何1つ変わらないか…」「僕やっと友達が出来たのに、操を救えないなんて悲しい」(しかし、自分の父親をこいつが殺したって知ったら、透もこうなってしまうのだろうな)淳希はそう思った。「焦らなくていい」「でも…」「彼女には時間が必要だ」「うん」「透、もう遅いから寝なさい」「はぁい」透はそう言うと、部屋の灯を暗くした。透は、操の顔を見た。「苦しいよね?辛いよね」すると、操は目を覚ました。「いつまで、そこにいるつもりだ?」「いつまでってここ、僕の部屋だよ?」「そうか」「操」「軽々しく私の名前を呼ぶな」「でも、おじさんがそう呼べって」「私は他人に言われたくない」
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