ー宿命ー

□モンスター討伐編・感情のない少女
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これは、花嶋操の悲しい過去の始まりである。
その当時、彼女は花のように笑う可愛しい6才の少女だった。

しかし、彼女の笑顔を亡くす残酷な出来事が起こった。
彼女はいつものように、幼稚園から帰ってくると、母親の声がなかった。
不審に思い、母親に駆け寄った。すると、その瞬間倒れてかかってきたのだ。
操は、母親の頭を触ると赤い赤い血がついた。
「ねぇ、お母さん起きて!まだ寝る時間じゃないよ?」
しかし、彼女の母親に反応はなかった。
すると、妹の冴子が泣き出した。
「おんぎゃぁおんぎゃぁ」
操はすぐに冴子を抱き抱えた。

(この泣き方は尋常じゃない)

すると乱暴にドアを開ける音がした。
「だっ誰?」
すると、覆面の男がこう言った。
「お前、こいつの娘か?」
「そうだけど、おじさんはどうしてそんな格好をしてるの?」
「正体を隠すためだ」「
どうして?」
すると、男は操の母親を指差した。
「こいつを殺した犯人がバレるからだろ?」
すると、操は悟った。

(お母さん、死んじゃっんだ。このおじさんに殺されて死んじゃったんだ)

「おじさん、お母さんを殺したんだね。警察を呼ぶよ」
すると、男は操のこめかみに銃をあててこう言った。
「おっと、警察に言ったらお前の命もないぞ?」
操は必死に抵抗した。
「これ以上動くと撃つぞ」
男はそう言うと、操めがけて銃を放った。
操は辛うじて避けることが出来た。
すると、すぐに操は銃を奪って男に銃を向けた。
「おじさん」
「やめてくれぇ!撃つな!」
しかし、操はそれも聞かずに撃った。
すると、男の頭部から鮮血が噴水のように飛び出た。
「私、人…殺したんだ」
それから、操は母親を殺された悲しみと、人を殺したショックで感情を亡くしてしまった。
操はすぐに警察に自首しに行った。
「私、おじさんを銃で殺しました」
すると、警察官はこう言った。
「お嬢ちゃんがかい?悪い冗談はよしなよ」
「違う。服に飛び散った血がその証拠だよ」
「またまたぁ。ケチャップをこぼして染みになっただけじゃないの?」
「本当なんだよ?」
「あのね。お嬢ちゃんはまだ6才なんだよ?銃を撃てたとしても、人に命中出来ないよ。だから、お母さんの所に帰りなさい」
すると、操は無言で帰っていった。

しかし、彼女には帰る場所がなかった。

そして、彼女はクリスタルウェディングホールで寝泊まりをするようになった。ある時、神父の由希が彼女を見つけた。
「なんでいつも家に帰らんと、ここで寝泊まりしてるん?」
「私に帰る家はありません。お父さんもお母さんも死んじゃったから」
「そうか…。なら孤児院入らなあかんな」
「孤児院?」
「両親のいない子を預ける場所や。他にも両親のいない子がおるんよ?」
「そうなんだ…」
すると、由希は操の手を握った。
「今日からは、そこがお嬢ちゃんの帰る家や」
そして、操と由希はクリスタル孤児院に向かった。

すると、保母がやってきた。

「新しい子?」
「そうなんや。教会で見つけた子なんよ。両親亡くして帰る家がないらしいんよ」
「あの…家族なら1人います。その子まだ赤ん坊なんです。だから、一緒に孤児院入れて下さい」

操はそう言うと、由希はこう言った。

「ならお嬢ちゃんの名前教えて?」
「私、花嶋操です。妹は冴子と言います」
「分かった。すぐに行くわ」
「待って。場所分かるの?」
「うん。お嬢ちゃんのインスピレーションでだいたいは分かるんや」
すると、由希はテレポートして行ってしまった。
「消えた?」
「あれは、テレポートだよ。操ちゃん。今日からあなたの母になるラン・ケイスよ」
「はい」
2人は、孤児院に入った。すると、孤児達が好奇の目で操を見た。

しかし、操は何も表情を見せなかった。
「今日から入る花嶋操ちゃんよ。みんな仲良くしてあげてね?」
「はぁーい!」
孤児達はみんな元気よく手を上げて言った。
しかし、操は何も表情に出さないのだ。不思議に思ったのか孤児の1人が、こう言った。
「どうして、笑わないの?」
「…笑わない?それは、笑いたくないから」
「なら、笑わせてあげる」
孤児達は次々に操を笑わせるために、いろんなことをした。しかし、操の表情は全く変わらなかった 。

「面白くない奴」

と誰かが言った。
しかし、面白くないのに笑えるわけがないと操は思った。

そして、みんなは夕食を食べることにした。すると、孤児の1人がこう言った。
「どこから来たの?」
すると、操はこう言った。
「わざわざ答える必要はあるのか?」
「新入りのくせに生意気なんだよ!」
すると、孤児の1人が操の頬を叩いた。しかし操は痛がることもなく淡々と夕食を食べ続けた。

すると、由希が帰ってきた。
「操ちゃん、堪忍やけど冴子ちゃんな、母方のばあちゃんにもらわれたみたいなんよ」
「そうですか…」
(私、1人きりだよ)
操はそう思った。
そして、夕食を済ませるとみんなはお風呂に入った。女の子達はみんなこう言ったのだ。
「女の子のくせに髪短いんだね」
「そうだけど、何?」
「何よ!本当生意気なんだから」
「そうよ。素直に答えなさいよ」
「…言って何になるの?」
すると、女の子の1人は操の頬を思いっきり叩いた。
「あんたねぇ、私達が仲良くなろうとしてるのに、酷くない?」
「私は仲良くなりたくて、ここに来たんじゃない」
すると、女の子達はみんな風呂から上がった。操は何も感じなかった。
そして、淡々と体を洗った。操は体を洗い終わると風呂場から出て、ドライヤーで髪を乾かした。そして、寝室に行った。

すると、女の子の1人がこう言い放った。

「来ないでよ!あんたは廊下で寝なさい」

すると、ドアに鍵をかけられた。操は仕方なく廊下で寝ることにした。

しばらくして女の子達が鍵を開けて様子を見た。

「ふてぶてしい子ねぇ。普通なら泣いて開けてって頼むのに…」
「本当、変わってるわね」
「みんなもう寝よ」
「うん」
すると、女の子達は鍵をかけて眠った。
操は、起き出した。

(早くおばあちゃんの家に行きたい…)

すると、男の子が1人やってきた。
「どうしたの?」
その男の子は綺麗な瞳をしていた。
「部屋の鍵かけられた」
「可哀相に…」
「いい気味とか思わないのか?」
「思わない。それに答えたくないのは、無理して答えなくてもいいんだよ」
「うん」
「それに、僕も君と同じような目あったからさぁ」
「お前も?」
「うん。だから今日も廊下がベッドなの」
「ふうん」

しかし、操の表情は無表情のままだった。しかしその男の子は気にもせずに、操と話をしだした。

「操って、かわいい名前だね」
「そうか?」
「うん」
「…」
「ごめんごめん。辛い?」
「うん。お母さんが付けてくれた名前だから」
「そう。ならもう聞かないよ」「寝なくていいのか?」
「そうだね。由希先生呼ぼうか?」
「由希先生?」
「今日、君をここに連れて来た大阪弁の男の人」
「…」

すると、男の子は由希を呼んだ。そして、由希は2人を連れて、縁側に座らせた。
「操ちゃん、まだ慣れへんやろ?」
「はい」
「ならな、この子に聞き。何でも教えてくれんで?」
「聞きたいことがない…」
「ないんか」
「うん」

すると、男の子はこう言った。

「無理しなくていいよ。聞きたくなったら聞いて。いつでも答えてあげるから」
「やって。良かったなぁ操ちゃん」
「…」
しかし操の表情は変わらなかった。
「まぁ、初めてのことやし固まってるんかな」
由希はそう解釈した。

しかし、数日が経っても彼女の表情は変わらなかった。流石に不審に思った男の子は、由希に聞いた。すると、由希はこう言った。

「多分、なんかのショックなんとちゃうかな」
「そうなの?」
「でもあんまり人の事情を聞くのはあかんのよ」
「ごめんなさい…」
「でも心配やから聞いたんやね?」
すると、男の子は頷いた。
「なら、長いこと待ってあげて」「うん」


そして、1ヶ月が過ぎた。操は未だに表情が変わることはなかった。
そのため、孤立していった。しかし彼女は痛くも痒くもなかった。


ある日事件が起こった。
孤児院にモンスターが侵入してきたのだ。子供達はおびえて部屋に隠れてしまった。

すると、モンスターがリビングに残った操に襲いかかった。すると、銃声が聞こえた。モンスターの気配が消えたようだ。

子供達は恐る恐るリビングに行った。すると、血まみれになった操の姿が見えた。
「あの子、化け物に殺されたの?」
女の子の1人がそう言った。

しかし、その逆だった。モンスターの方が殺されたのだ。

そして、操が振り向いた。
「なんだ?」
すると、女の子はみんなこう言った。
「ぎゃあああ!!化け物!」
そして、部屋に戻った。
男の子達はみんな操に近付いた。

「まさか、お前がやったの?」
「そうだ。それがどうした」
すると、男の子達は由希を呼び出した。
「先生…モンスターが」
「どないしたん?急に」
「花嶋に殺された」
「モンスターが操ちゃんに殺された?」
「そうなの。とにかく来て」
由希は子供達に引っ張られて、操の所まで近付いた。
「操ちゃん、大丈夫?」
「はい」
すると、男の子の1人がこう言った。
「こいつ化け物だよ。モンスターを殺すなんて」
すると、由希はこう言った。
「でもみんなを助けたんやで?化け物呼ばわりすんなや」
「銃声が鳴ったの」
「銃?」
すると、由希は操の右手に銃が握られてるのを、発見してすぐに取り上げた。
「子供がこんなもん使ったらあかん!」
「…」
操は何も言わずに風呂に入った。
「あいつ化け物だよ。血まみれになっても平気な顔してた」
由希は男の子達を部屋に返した。

すると、由希は操と話してた男の子を呼び出してこう言った。
「さっきの行為はどない思った?」
「僕は、格好いいと思ったよ」
「なんでや?」
「だって普通なら、逃げるはずだよ。でも花嶋はやっつけたんだ。確かに銃は危険だし使ったら危ないけど、花嶋のおかげでみんな助かったんだ」
すると、由希はこう言った。
「お前が彼女の心を溶かしてあげなさい。お前にしか出来へん」
「先生…」
「それに今の彼女は孤立になっても、どこかそれを望んでいたような感じなんよ。だから、彼女を助けてあげて」
すると、男の子はこう言った。
「僕、ラン先生から聞いたんだけど明日に淳希伯父ちゃんに貰われるの」
「そうなんか?」
「だから、花嶋の話の相手出来なくなっちゃうんだ」
「そうか…。操ちゃんには言っときな」
「うん」
そして、その男の子は風呂から上がった操を呼び出して縁側に連れて行った。
「急に呼び出してどうした?」
「花嶋、僕明日淳希伯父ちゃん養子としてもらわれるんだ」
「良かったな」
「花嶋は淋しくないの?」
「全然…」
「そう。最後まで聞きたいことなかったんだね」
「うん。なかった」
「明日お別れの日には、ちゃんと見送ってね」
「気が向いたらな」
「ありがとう」

そう言うと、男の子は満面の笑みを操に向けた。

「じゃあ、また明日」

そう言うと、男の子は去ってしまった。

(あいつももらわれるんだ…。いいよな)

操はそう思った。

すると、操はランから呼び出しを受けた。

そして、リビングに2人は座った。
「操ちゃん。あなたにも貰い手が見つかったわよ」
「おばあちゃんですか?」
「残念だけど違うの。それに少し変わった仕事をしてるのよ」
「…」
「聞きがらないのね」
「興味が全くない」
「そう。とにかく、明日に貰い手が来るから、いい子にしてね」

そう言うと、ランは去っていった。

操は少しだけ心を踊らせた。

(私にもついに貰い手が来たんだ…)

そして、操はいつものように夕食を済ませて、廊下で眠った。そして、昼頃に、男の子は淳希に連れて行かれた。

「待って」

操はそう言うと、男の子が振り向いた。
「どうしたの?」
「何でもない。元気でな…」
「ありがとう。花嶋」
そう言うと2人は去ってしまった。

(あいつの名前聞きそびれちゃったなぁ)

そして、その1時間後に操も、連れて行かれた。

すると、男の人がこう言った。

「お前には、家族としてではなく、モンスター討伐の同じパーティーとして扱う」
「モンスター討伐?」
「そうだ。モンスター討伐とは、住宅に侵入してくるモンスターを退治することだ。だからお前をスカウトしに来たんだ」
「そうか」

そして、2人は家に着いた。

「連れてきました」
「よし。まだ子供じゃねぇか」
「でも、こいつのいた孤児院でいっちょまえに銃を放ってましたよ?」
「名前はなんだ?」
「花嶋操です」
「今日からお前の名前はNo.003だ」
「003?」
「そうだ。だから今からお前のことを003と呼ぶ」
「私はみんなのことどう呼べばいいの?」
「私は001こいつは002」
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