ー宿命ー
□最終決戦・父と子の和解
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そこは、宮殿のようだった。すると、ミスティが現われた。
「ようこそ、我がデーモンキャッスルへ」
「出たなおばはん」
「たく!あなた王女なんでしょ?その口調どうにかしなさいよ!!」
「おとんも大阪弁や!」
「何なのよ、もう!」
すると、漣が剣を向ける。
「話をするために来たんじゃありません」
「ふふふ。そんなに慌てなくてもいいわよ」
ミスティはモンスターを召喚した。
「しばらくこいつとじゃれてなさい。私は3階のエントランスで待っててあげるから」
そう言うと、ミスティは消えた。
「美希、頼むよ!」
「分かったで」
美希はそう言うと、『分析』を唱えた。
「キングベビーモスや。かなりの強敵やな。攻撃力は高めやし」
「分かった」
すると、モンスターが2人に襲いかかった。そして、烈風が2人を襲った。
「美希、とにかく魔法を使え!」
漣はそう言うと、操は『ストップ』を唱えた。すると、キングベビーモスが止まった。
「かなりのデカさやな」
「操、なるべく中心部を撃って」
「了解」
そう言うと、美希は手持ちの銃を10発撃った。それと同時に魔法が切れた。キングベビーモスは痛くも痒くもないようだ。
「あかん。全然効いてないわ」
「でも、弱点が明確になった。美希、この剣に『エレキクロス』をかけてくれ」
美希は『エレキクロス』を漣の剣にかけた。そして、すぐに漣はベビーモスに切りかかった。しかし、ベビーモスは、漣の剣を素手で受け止めて、漣を投げ飛ばした。
「漣!!」
「美希、自分の中で一番強い魔法をあいつにかけろ!」
漣はそう言うと、美希は白い球体を発生させた。その間にベビーモスは、美希めがけて突進しだした。そして、美希は威力を最大に高めた白い球体をベビーモスに投げ付けた。
「食らえ!『ギガホーリー』」
すると、ベビーモスは倒れた。そして、消え去った。
「漣、大丈夫か?」
「大丈夫だよ、さあ3階のエントランスに行こう」
漣はそう言うと、2人は3階に行った。すると、ミスティが立っていた。
「あら、意外と早かったのね」
「さて、戦おか?」
「せっかちなのね。ならば、来てもらいましょうか。出でよ。我が一族の元祖、デーモン様」
すると、デーモンが現われた。
「このデブがデーモン?」
「デブとは失礼な!」
すると、デーモンがこう言い始めた。
「久し振りだな。この城は。それに、ジュニーU世の子孫にも会えたしな。これで往年の恨みが果たせる」
「恨みを果たしたとしても、何も残らんと思うで?その人すでにおらんし」
「いや、お前達を死なせば、我が一族の悲願が達成される。100年前にジュニーU世と徳川春樹の手によって阻まれた、デーモンキンダグムの誕生をな!ははははは」
「そんなことはさせない!!あなた達の手でこのクリスタルキングダムの平和を乱されるのは、もうたくさんだ!」
「奴も、昔その眼で見たんだ。憎悪に満ちた眼でな!!」
「ご先祖様達が守ってきた、クリスタルキングダムの平和と秩序は、俺達の手で守ってみせる」
「まだまだ、小僧と小娘の分際で何が出来るというんだ」
「やってみせるさ」
そう言うと、漣は剣を構えた。
「ほう、お前は徳川春樹似だな。俺様はあいつの手で葬られたんだからな!!」
「そうか…。ならば二度とこの世界に出られないようにしてやる」
「出来るかな」
そう言うと、デーモンは『グランドクエイク』を唱えた。エントランス内が、揺れる。すると、ミスティはこう言った。
「デーモン様、さっさとやっちゃって下さい。私はここで見物させてもらいますわ」
「当たり前だ。俺様の強さをここでよく見ておけ」
そう言うと、デーモンはいきなり美希の体を掴んだ。
「なにすんのや!!」
「名前はなんだ!小娘」
「戸川美希や!」
「戸川美希、お前の先祖は誰だ!」
「ハル・トニーT世や。なんでこんなことまで話さなあかんの?」
「俺様を封印した奴の末裔だな」
すると、デーモンは美希の体をきつく締め付けた。
「封印?」
「俺様は120年前に、タワーズキャッスルである若者達に封印された。その中にハル・トニーがいた。だから、お前も同じ目にあわせてやる」
そう言うと、デーモンは美希を封印しかかった。すると、漣は『魔封殺』を唱えた。辛うじて美希は封印されなかった。
「貴様!」
「俺の大事な人に手を出すな!」
「ほぅ、確かジュニーU世の結婚式でもハリルちゃんを封印したな。その時も、奴は果敢に戦ってきやがった」
「ハリル?フェニックスのこと?」
「後にそう呼ばれているな。俺様が封印したばかりに、本来の力が発揮されてしまった。お前、遠くから微かにハリルちゃんの匂いがするぞ。さては、ハリルちゃんの末裔だな」
(確かお父様の血には、ハリルさんの血が入っているとお母様から聞いてたけど)
「ならば、お前から封印するか」
そう言うと、デーモンは美希を離した。すると、漣は身構えた。
「お前の潜在能力を、引き出して暴走化させてやろう」
デーモンはそう言うと、漣の首を両手で掴んだ。漣はもがき苦しんでいた。
「ふふふ、苦痛に歪むお前の顔はなかなかいいもんだな」
「悪趣味っ…」
「漣!」
美希は、銃をデーモンに構えた。
「おっと、その銃を撃ったらこいつの命がどうなるか分かるよな?」
「くっ」
「美希!」
デーモンは漣の首を徐々にきつく絞めだした。
「苦しいか?小僧!!今すぐ楽になりたいか」
「嫌だ!」
漣はそう言うと、必死に抵抗した。しかし、デーモンは実体がないため、全然通用しないのだ。
「美希…」
「あかん…撃たれへん」
「それでいいのだ。小娘、こいつが封印されるところを大人しく見ておくんだな」
デーモンは『封印』をし始めた。漣はあまりの痛みに思わず声を上げた。
「うわぁああああ!!」
「ははははは!!どれぐらいまで体が持つかな?」
「漣!!」
「美希ぃいいい!!俺に構わず撃ってくれぇ!!頼むから早く!」
美希は 震える手で銃を再び構えた。
「おいおい、どうなるか分かって構えるのか」
(あかん。漣がおるから撃たれへん。でも、撃たないと漣が封印されてしまう…)
美希はこう言った。
「漣、もうちょいの我慢やで。すぐに撃つからな?」
すると、漣は微笑んだ。
「当たったらごめんやで」
「大丈夫だよ…」
すると、美希は操の言葉を思い出して、銃を一発放った。その時、2人の時間がゆっくりになった。
「漣、今のうちに逃げるんや」
「分かった」
そう言うと、漣はデーモンの体から離れた。そして、元の時間の早さに戻った。
「小娘何をした」
「『ストップ』入りの銃の玉を放ったんや」
漣はさっきので、かなり体力を消耗した。
「なかなかやるな。しかし、致命傷に至らなかったのが、ミスだったな」
「別にええんよ。避けられることは、念頭にあったから」
すると、デーモンは『ダークホーリー』を美希めがけて、放った。しかし、美希は『封殺』で魔法を無効化してしまった。
「なんや、さっきのベビーモス戦でレベルアップしたみたいやな」
「美希…」
「しばらく休んどき。時間稼ぎしたるから」
「すまない。美希」
「ええで」
そう言うと、美希は銃をデーモンに向けた。すると、美希はこう言った。
「さっきはどうも!漣を可愛がってくれまして。だから御礼に、放ったるわ」
美希はそう言うと、銃を放った。しかし、実体のないデーモンの体をすり抜けていくだけだった。そう、美希が狙っていたのはデーモンではない。後ろから彼を操っていたミスティなのだ。
「見物されてたら、気分悪いんでな。どうせ、このデブもまやかしなんやろ?おばはん」
美希はそう言うと、ミスティはこう言った。
「よく見破ったわね。デーモン様は単なるまやかし。退屈凌ぎにはなったわ」
すると、デーモンを消し去った。
「それに、プリンスがハリルの末裔だと知ったしね」
「何する気や!?」
美希はそう言うと、ミスティは漣に近付いた。漣は彼女を睨み付けた。
「随分怖い顔をなさるのね。いいわ。いつまでその顔が出来るか、試して上げる」
ミスティはそう言うと、漣の胸元に『ダークエレキクロス』を放った。
「うわぁああああ」
「漣!!」
美希は近付こうとしたが、凄まじい電流で近付けなかった。それをいいことに、ミスティは漣を壁に押しやって、彼の両手を限界まで広げさせて、鎖で縛った。
「いい様ですこと。好きな人の目の前で、無様な姿を見られるなんてね」
ミスティはかなり意地悪な笑みを浮かべる。
「はぁあああ!くはっ」
「漣にそれ以上苦しめさせんといて!」
「苦しみ?直に死という楽園に連れていくのに?」
「いやや!!」
すると、ミスティは漣の頬を触った。
「触るな!」
漣は精一杯の抵抗を見せたが、無駄だった。
「ふうん。これだけの電流を浴びても、抵抗できるのね。いいわ。ますます死なせ甲斐があるわ。死ぬ前に、彼女に言うことはあるの?」
「あるさ…。でも、あなたなんかに聞かせたくない」
「なんて強情な人なの?」
「それに、俺はまだ死ねない…」
「無駄よ。この電流は確実にあなたの体を死に追いやるかね」
「例え、肉体が死のうとも、彼女との約束は絶対に守る…」
「漣!!」
すると、美希は電流の中にやってきた。
「来るな!美希まで道連れにしたくない」
「気持ちは嬉しいけど、春代おばちゃんの二の舞にはなりたない」
「でも、美希が死んだら、由希さんと美影さんが…」
「分かっとる。でもな、あんたがいなくなったら、春代おばちゃんと俊也さんとハルクが悲しむんとちゃう?」
「でも…」
「私なら、大丈夫や。ミスティ、漣を離せや」
美希はそう言うと、電流を利用して、ミスティに銃を放った。命中したが、銃も壊れた。
「どないしよ。操さんのやのに…」
すると、ミスティはいったん漣から離れた。漣は、気を失った。美希は急いで、鎖を開錠した。そして、『フルケア』をかけてやった。漣はしばらくして、目を開けた。しかし、焦点があっていない。
「そこにいるのは美希?」
「そや。目、やられてもうたんか」
「うん。もう見えないんだ」
「ごめん…。私がもっとはように、撃ったらそんなことならんかったよな」
「大丈夫だよ。目は見えないけど、気は感じるから…」
(操さんもトニーズキャッスルの時に目が一時的に見えへんようになった時、そない言ってたな)
漣は立ち上がった。
「目も見えないくせに、どう戦うというの?」
「見えなくても、俺は戦える。いや戦わなきゃだめなんだ」
すると、ミスティは漣めがけて『ダークアルテマ』を放った。漣は避け切れずに当たった。
「馬鹿な人ね。そんなんで私が倒せると本気で思ってるの!?」
「例え、この命尽き果てても、あなただけは倒します!」
漣は見えない筈の目を見開いた。彼の目は、青く光っていた。そして、彼は力をためた。漣のオーラが増していく。そして、一気に剣に集中させて、ミスティを狙った。しかし、ミスティは漣の剣をへし折った。
(あの覇王龍剣でさえ、ミスティには敵わんのか?)
「ふふふ。その剣が無ければ、あなたの勝ち目はないわ。さて、大人しく死んでもらおうかしら」
ミスティはそう言うと、漣の首をしめかかった。そして、一気に強く締め付けた。漣の意識はすぐに遠のく。そして、ミスティは漣を投げ付けた。
「意外とあっけなかったですわ。さて、次はプリンセスあなたの番ですわよ」
すると、美希は身構えた。
「どこまでも、勇ましいプリンセスですこと。ならば、その命を私に捧げなさい」
そう言うと、ミスティは美希めがけて『デスペラード』を放った。美希はなんとか、避けた。
「小賢しい。素直に死ねばいいというのに…」
「なら、道連れにしたるわ」
すると、美希はミスティに近付いた。
「何する気?」
「何する気かぁ…。漣をこんな目にあわしてようそんな口聞けんなぁ。おばはん?」
すると、美希はフルートを取り出した。そして、『嘆きの天使』を吹き出した。すると、自然と美希の瞳から、涙が流れた。
(漣、ごめんな。私、この手段しか取れへんかったんよ)
すると、美希は倒れた。ミスティにも、相当ダメージを与えたが、致命的ダメージにはならなかったのだ。