Novel

□姫条まどかルート
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卒業式。

相変わらず勉強パラはどう頑張っても低いままだったので

唯一のとりえだった勤労さだけで粘った結果、バイト先だったガソリンスタンドへの就職が決まりました。

卒業とともに新しい環境への期待と不安に胸を抱かせている級友達に比べると

慣れ親しんだ勤め先でこれからもずっと働いていく自分はこの卒業という区切りに今ひとつピンと来ていませんでした。

ただこの学園に毎日通うことがなくなる事を思うと、何処となく心に喪失感を抱かざるを得ませんでした。



理事長の話も早々に聞き終えて足早に例の教会へ向かいます。

伝説が正しく伝わっていないせいで皆に気味悪がられているせいなのか、いつも通り誰もいませんでした。

ここに来ると何故か昔読んだ絵本の記憶が思い出されます。

普段は忘れているのにこの時ばかりは詳細に克明に思い出してしまいます。

あまりにリアルすぎて、今までぼんやり生きてきた18年間の記憶をひと時の間忘れてしまいます。
 
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